(30日、プロ野球 阪神タイガース5―1読売ジャイアンツ)

 両手に残った感触で確信した。甲子園の夜空に舞った白球を見つめながら、阪神の大山悠輔はゆっくりと走り出した。

 1点リードの六回。先頭の森下翔太、佐藤輝明の連打で一、二塁とした場面で、右打席に入る。「右打ち」で最低でも走者を進めたい場面だが、大山の頭の中にそんな考えはなかった。「とにかく点を取る。それだけ」。巨人の左腕中川皓太の初球、ひざ元のスライダーを引っぱたくと、左翼ポール際への3ランとなった。

 2試合連続の本塁打だ。調子を落とし、中途半端なスイングが目立った5、6月のような姿はもうない。12試合連続安打で打点も5試合連続。勝負強さが戻ってきた。

 プロ8年目、チームの中軸に座る29歳は、伝統球団の重みも感じながらプレーする。

 今回の巨人3連戦は、8月1日に迎える甲子園球場の開場100周年を記念して「KOSHIEN CLASSIC SERIES」と銘打って開催されている。この日の試合前には阪神OBの掛布雅之氏、巨人OBの原辰徳氏がユニホーム姿で登場し、バットを振った。

 その光景をベンチから見つめていた背番号3。昨オフ、こんなことを言っていた。「小さい頃からあこがれていた甲子園。その100周年の時に、まさか阪神の選手でいられるとは。感謝の気持ちを持ってプレーしたい」

 調子がいいからといって、一喜一憂しない。「1試合1試合やるだけ」。チームのために、誇りを持ってバットを振る。(山口裕起)

 大山(神) 六回、2試合連発となる9号3ラン。「才木のためにも1点でも多くと思っていた。最高の結果になってくれてよかった」

 才木(神) 七回途中1失点で6月16日以来の9勝目。「走者を出しても要所で粘り強く投げられた」

 阿部監督(巨) 打線が才木に七回途中まで散発3安打に抑えられる。「みんなの打とう、勝とうという姿は見えている。切り替えてやるだけです」

 山崎伊(巨) 5回被安打9、1失点。「先に点を与えてしまったことは反省するところ」

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