パリ・オリンピック第4日は29日、当地のコンコルド広場でスケートボードの男子ストリート決勝が行われ、2021年の東京五輪金メダルの堀米雄斗(三井住友DSアセットマネジメント)が2連覇を達成した。
最終試技でメダル圏外の7位から大逆転で連覇を決めた堀米は、繰り返し拳を突き上げた。その道のりは劇的だった。
スケートボードは、45秒間にトリック(技)を連発する「ラン」2回のうちの最高点と、一発技「ベストトリック」5回の中の得点の高い2回の合計で争う。堀米は最初の「ラン」と「ベストトリック」の1回目までは順調だったが、そこから苦しんだ。
初代王者になった東京五輪から3年間で全体のレベルが上がった。予想以上に各選手が得点を伸ばし、「(堅実なトリックで)メダルを狙うより、自分の限界のトリックを出さないと勝てない」。勝負に出た結果、3回続けて転倒した。
残すは「ベストトリック」の最後の5回目のみ。トップに立つには、96・99点が必要だが、この時点の全選手の最高点は95・25点だった。そこで堀米は達観の境地に達した。「プレッシャーを通り越していた。泣いても笑っても、もう本当に最後だから悔いの残らないように」
背中側に270度回りながら、スケートボードの端をレールにかけて滑り降りる。高難度のトリックを鮮やかに決めると、何度も絶叫した。この日の最高得点の97・08点が表示されると、感極まった表情でボードを掲げた。
東京五輪は大技で逆転勝ちし、パリ五輪の出場権も予選シリーズ最終戦を制して逆転でつかみとった。土壇場での勝負強さについて、堀米は以前「常にベストの滑りをしようと自信を持って臨むだけ」と語っていた。
スケートボードを心から愛し、誰よりも長い時間、ボードに乗ってきた。決勝の試技の合間も何度転倒してもトリックを重ねて動きを調整した。「今までやってきたことや支えてくれたみんなの思いが最後に全部出た」。万感の五輪連覇だった。【小林悠太】
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