7月29日のセーヌ川。水質基準を満たさず公式練習は2日続けて中止となった。右奥がトライアスロンのスイムでスタート地点となるアレクサンドル3世橋=パリで2024年7月29日午後1時52分、木原真希撮影

 パリ・オリンピックを巡り水質への懸念から実施の可否が話題となっていたセーヌ川での遠泳系競技で、大会組織委員会は30日早朝、同日午前に予定されていたトライアスロン男子のスイムは一部の水質基準を満たさず行えないと判断し、トライアスロン男子の競技自体の31日への延期を発表した。

 組織委によると男子トライアスロンは、当初現地時間で30日午前8時(日本時間午後3時)から開催予定だったが、31日午前10時45分(同午後5時45分)からに延期される。組織委はセーヌ川の一部の地点で水質データの測定値がレース開催の許容値を超えているとしている。

 セーヌ川を巡っては、26、27日にパリ市内で雨が降った影響で水質が悪化し、28日に予定されていた公式練習が中止となった。29日も基準を満たさないとして公式練習が連続で中止となったが、この日、組織委は「水質は急速に改善しており、予定通り競技を実施できると確信している」とのコメントを発表。一方で、基準に達しない場合の延期も示唆していた。

 セーヌ川は水質が悪化した影響で1923年以降、遊泳が禁止となった。近年も一定規模以上の雨が降ると、近隣の下水が雨水とともに川に流入するなどして、水質が一時的に悪化する状態が続いていた。

 パリ市などはパリ五輪を契機に下水の流入を減らせるよう巨大な地下貯水場を整備したり、下水道整備を進めたりするなどの対策を講じてきた。【パリ木原真希】

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