(28日、第106回全国高校野球選手権兵庫大会決勝 報徳学園4―0明石商)

 報徳学園が6年ぶりに兵庫の夏の王座に就いた。3番打者の機転が、終盤に試合の流れを動かした。

 1―0で迎えた八回無死一塁。報徳学園の安井康起は、バントの構えから一転、ヒッティングに切り替えて外角低めの変化球をたたきつけるように打った。

 打球は中前へ。一気に無死一、三塁の好機をつくり、この回3得点。粘る明石商を突き放した。

 実は、ベンチのサインはバントだった。安井はそれまでの攻撃で、バントの時に相手の三塁手が極端に前に出てくることに気づき、この奇襲を狙っていた。おびき出すために、いつもより早くバントの構えをした。

 安井は「守備の動きに応じて、バスターに切り替えるのはチームとしてOKなんで。打てば抜けると思った」としてやったりの表情で振り返った。

 昨年は春の選抜で準優勝し、夏の兵庫大会も優勝候補と言われながら、5回戦で神戸国際大付に競り負けた。

 世代屈指の好右腕・今朝丸裕喜と、間木歩という二枚看板を擁し、2年連続で選抜準優勝した今年も、優勝の最有力と目されて夏に挑んだ。

 社との準決勝を延長タイブレークの末に勝ちきるなど、勝負強さを発揮して大きな関門を突破した。

 「生徒たちは終盤まで攻める姿勢があったし、それが出た結果。兵庫を制するのは本当に難しい」。大角健二監督は満面の笑みで選手をたたえた。

 今大会の打率が6割を超えるなど打線を引っ張った安井は言う。

 「春の甲子園という大舞台を経験させてもらって、試合慣れというか、動揺せずに戦えた。夏こそ、日本一になる」=ほっともっと(松沢憲司)

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