（25日、第106回全国高校野球選手権岩手大会決勝、花巻東4―3盛岡大付）
1点差で迎えた九回裏2死走者なし。花巻東の田崎晴大（はると）投手（3年）はフルカウントから、思い切り腕を振って直球を投げ込んだ。空振り三振に打ち取ると、右手の人さし指を突き上げた。周りに仲間たちが駆け寄って喜びを爆発させた。
張り詰めた強豪対決。花巻東は2人の投手が躍動した。
先発した左腕葛西陸投手（3年）は気合の入った投球で、強打を誇る盛岡大付に得点を許さない。六回裏2死一、二塁のピンチでは、力のこもった投球で代打を三振に打ち取ると、「うおっしゃー！」。ベンチに戻りながら、左手で何度もガッツポーズした。
七回裏1死一、三塁のピンチで救援したのが田崎だった。笑顔でマウンドに向かい、「ここまでよくおさえた」。葛西は「頼むぞ」と告げてベンチへ戻り、声を出し続けた。
託された田崎は同点に追いつかれたものの、粘りの投球を見せ、リードを守り切った。
葛西陸投手は五回表1死走者なしで、先制につながる右中間への三塁打を放った。田崎投手は八回表2死一塁で、勝ち越しとなる右越えの三塁打。田崎は「とにかく空振りはしないように、と。思いが（打球に）伝わったのかも」。2人とも今大会の初安打で、流れを引き寄せる貴重な長打になった。
盛岡大付は、昨秋の県大会の2回戦で敗れた相手。田崎投手は後半登板したが、2失点し、差を広げられた。チームはこの負けからしばらく立ち直れなかった。
そこから懸命に練習しての全国の切符。「甲子園がかかった試合で盛岡大付に勝てて本当にうれしい。岩手のチームを背負うに値する恥じないプレーをする」。そして「岩手から日本一」を今度こそ達成する。そのチーム目標を胸に甲子園の舞台に挑む。（藤井怜）
鄭重声明：本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。
