サッカー男子のウクライナ代表はヨーロッパ予選で強豪フランスに勝つなどしてオリンピック初出場を果たし、24日、フランス東部のリヨンでイラクとの初戦に臨みました。

ロシアの軍事侵攻が続き、連日多くの国民が犠牲となる中、ウクライナの選手たちは試合前、祖国の国旗を身にまとって国歌を歌い連帯を示していました。

試合は両チーム無得点で迎えた後半8分、ウクライナのルブチンスキー選手がフリーキックからのこぼれ球にいち早く反応し、先制に成功しました。

しかしその3分後、イラクにペナルティーキックで同点とされると、後半20分にはミドルシュートを決められ逆転されました。

ウクライナは試合を通じてイラクの2倍以上にあたる11本のシュートを打つなど、最後までゴールに迫りましたが、このまま1対2で敗れ、初戦を勝利で飾ることはできませんでした。

ゼレンスキー大統領「力を尽くしてくれる全員に感謝」

それでもウクライナのゼレンスキー大統領はこの日、SNSに公開した動画で「戦争とロシアによる恐怖の中、オリンピックに向けて準備し大会に参加していることは重要な成果だ。ウクライナの人たちがなるべく普通の生活を送れるよう、力を尽くしてくれる全員に感謝する」と述べ、困難な状況にもかかわらず大会に臨んでいる選手たちをたたえました。

ウクライナのサッカー男子代表は今月27日にモロッコ、30日にアルゼンチンと対戦し、オリンピック初勝利を目指します。

“先制点に歓声”首都キーウではパブリックビューイング

ウクライナの首都キーウの公園の中に設けられたパブリックビューイングの会場には多くの市民が訪れました。

試合の直前、ウクライナの国歌が流れると会場にいた人たちは一斉に立ち上がり、胸に手を当てたり歌ったりしながら国の代表にエールを送っていました。

試合が始まると、訪れた人たちは選手たちのプレーを見守っていましたが、開始から10分ほどたったとき、停電が起きて画面が真っ暗になりました。

キーウ市内では、ロシアによるインフラ攻撃などの影響でたびたび停電が起きていて、会場では発電機によって数分後に映像が再び流れました。

試合は後半、ウクライナが先制点をあげると会場では一気に歓声が上がり、立ち上がったり拍手をしたりして喜んでいました。

試合はその後、イラクに2点が入り、ウクライナ側はゴールに近づく惜しい場面が続きましたが、なかなか得点を決められず落胆の声も上がっていました。

結局、ウクライナは敗れましたが、会場で観戦した24歳の女性は「私たちには希望と、勝利を望む強い気持ちがあります」と次の試合に希望を託していました。

また男性は「選手たちはオリンピックで多くのメダルを獲得して強さを見せ、私たちや兵士たち、そして国を幸せにするでしょう」と話し、選手たちの活躍によってロシアと戦うウクライナに勇気を与えてほしいと期待を込めていました。

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