4月13、14日の2日間、阪神甲子園球場で全国審判講習会があった。夏の甲子園をかけた全国の地方大会へ向け、審判の心構えや技術の理解を深めるのが狙い。64回目を迎えた今年は初めて、7人の女性の審判委員が参加した。
「アウト」「セーフ」などのジェスチャーや発声といった基本から、投球判定、盗塁や挟殺プレーなど実戦的なものまで、男性の審判と同様に講習をこなした。
印象的だったのは、時間を見つけては講師の審判委員に積極的に質問していたこと。この機会を実り多いものに、という貪欲(どんよく)な姿勢を感じた。
夏の地方大会で全国初の女性審判委員が誕生したのは、25年前。1999年の神奈川大会で、藤原三枝子さんが塁審を務めた。2018年に国際審判員を引退するまで、国際大会や大学野球などにも出場した女性審判のパイオニアのような存在だ。
「野球は男社会で、差別をなくすには実力を上げるしかないと思ってやってきた」と藤原さん。今回、女性の審判委員が講習会に参加したことについては「大事な一歩。これをきっかけに女性審判が育つ環境が整ってくれれば」と語った。
参加した埼玉県の森田真紀さんは2児の母。出産で審判を離れた時期があり、「結婚や出産もあり、続けることが大きな課題。入りやすい環境だけでなく、細くとも長く続けられる環境作りも(経験のある)今の私の仕事かなと思う」。
踏み出した大きな一歩。春夏の甲子園で女性審判委員がジャッジする姿を、早く見たい。技術や体力を向上させ、経験を積む場や仕組みが、もっと必要だ。
日本高校野球連盟の井本亘事務局長は「ゆくゆくは甲子園で女性審判が出てくれれば。そのためにどうすればいいか考えていかないといけない」と話した。
ジェンダー平等が日本社会の課題となっている中、「環境」を作ることは、野球界にも求められる姿勢だろう。(大坂尚子)
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