<高校野球・神奈川決勝>  第106回全国高校野球選手権神奈川大会は24日、横浜市の横浜スタジアムで決勝を行い、東海大相模が横浜に6-4で逆転勝ちし、5年ぶり12度目となる夏の甲子園出場を決めた。2年ぶりの頂点を目指した横浜は昨年に続き、あと一歩のところで涙をのんだ。

甲子園出場を決め、喜ぶ東海大相模ナイン=横浜スタジアムで(斉藤直己撮影)

 いずれも今大会第1シードで、全国屈指の強豪校同士の対戦は、息の詰まる展開になった。  先制したのは横浜。一回に先頭打者の阿部葉太選手が内野安打で出塁し、3番椎木卿五(けいご)選手の左中間への適時二塁打で生還。三回にも椎木選手の右越え本塁打で1点を追加した。五回に同点に追い付かれたものの、直後の六回に安打を重ね、再び2点を勝ち越した。  流れが大きく変わったのは八回。東海大相模は1死満塁の好機をつくり、1番三浦誠登(まさと)選手のセンターへの適時打で同点に追い付く。続く日賀琉斗(りゅうと)選手の内野安打で再び全てのベースを埋めると、3番中村龍之介選手が左中間に適時二塁打を放って2人をかえし、試合を決めた。  全国大会は8月4日に組み合わせ抽選会があり、7日に甲子園球場で開幕する。    ◇

◆木村主将、重圧から解放され「きょうは自分にご褒美を」

 横浜の最後の打者をショートゴロに打ち取って優勝が決まると、東海大相模の木村海達(かいたつ)捕手は一本指を立てて雄たけびを上げ、チームメートの歓喜の輪の中に飛び込んでいった。主将としての重圧から解放されたかのように、原俊介監督と涙で抱き合った。

優勝を決め、雄たけびを上げながらマウンドに駆け寄る木村捕手

 七回を終わって2-4のリードを許す苦しい試合展開だった。「決して諦めない」との思いをつないでくれたのは、1番から4番までの打順を固める2年生の後輩たちだった。  「3年生たちの援護射撃をしろと2年生たちには伝えた」。原監督は、あえて上位打線に2年生を並べた狙いをそう話す。「つなげ、つながれ」がチームのスローガン。それが八回裏、見事に結実し、一挙4得点の逆転につなげた。  この回、同点に追い付くセンター前の2点適時打を放った1番三浦選手も、左中間の適時二塁打で決勝点を挙げた3番中村選手も、五回裏に本塁打を放った4番金本貫汰選手も2年生。「先輩たちへの思いがつながって良かった」「つなげたいとの一心だった」など、3選手とも笑顔で振り返った。  「きょうは、自分にご褒美をあげたい。ケーキが食べたいです」。今大会では「最後まで油断するな」と、勝ってもなかなか笑顔を見せなかった主将は優勝を決めた後、高校生らしい素顔をのぞかせた。「チョコレートケーキがいいな」と破顔した。(渡部穣)    ◇

◆横浜 昨夏の慶応戦が頭をよぎり…2年連続決勝逆転負け

 昨年に続き、決勝で逆転負け。本塁打を含む4安打の活躍を見せた横浜の椎木選手(3年)は「去年の雪辱を果たせず、みんなを甲子園に連れて行けず申し訳ない」と肩を落とした。  主将としてチームを引っ張ってきたが、この5月、村田浩明監督の意向で2年の阿部選手と交代した。悔しさもあったが、プレーで期待に応えようと奮起した。

三回、本塁打を放つ横浜・椎木選手

 決勝では初回に先制点を挙げ、三回には本塁打で追加点を奪うなど、試合の流れをつくった。だが、2点リードで迎えた八回、東海大相模の猛攻で同点に追い付かれると、慶応に逆転負けを喫した「去年の決勝の場面がよぎった」という。それでも「今年は自分たちが絶対に逆転できる」と信じ、ピンチに立たされたマウンド上の池田聖摩(しょうま)投手を励ました。  九回2死で回ってきた打席。「自分で絶対に終わりたくない」と中前打を放ったが、本塁を踏むことはできなかった。「やり切ったとは思うが、勝ちたかった」と言葉を絞り出した。  村田監督は「昨年と同じような形。絶対に勝てると思ったが、こういう結果。これから整理して、向き合っていきたい」と言葉少なに語った。(森田真奈子) 

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