第106回全国高校野球選手権長野大会は24日、準決勝2試合があり、初の甲子園出場を狙う長野俊英と、15年ぶりの出場を目指す長野日大が、それぞれ決勝に駒を進めた。長野俊英は赤穂にサヨナラ勝ちし、長野日大は小諸商を六回コールドで下した。長野大会の決勝が、長野市に所在する高校同士の組み合わせになるのは初めて。決勝は27日に、セキスイハイム松本スタジアムで予定されている。

(24日、全国高校野球選手権長野大会準決勝、長野俊英5―4赤穂)

 「目標は夏のベスト4でいいです」。昨年、新チームになってから、赤穂の主将・網野聖也(3年)は高重陽介監督にこう口走ったことがあった。2021年の長野大会で公立の高遠を4強に導いた高重監督は、常に「本気」を求める指導スタイル。監督の姿勢についていけないと感じたことが背景にあった。撤回し、改めて真剣に甲子園を目指したこの1年。ただその自らの一言はずっと心に刺さったままだった。

 24日の試合。網野は3安打を放った。三回表は右越え二塁打で二、三塁の好機を作った。その後、塁間にわざと挟まれ、三塁走者の生還を演出するプレーも見せた。ただ同点で迎えた九回裏。2本の長打で長野俊英に1点を取られ、サヨナラ負けを喫した。

 高重監督は試合後、「本当によくやってくれた」と涙声で選手たちをねぎらった。網野は「充実した2年3カ月でした」と言った後、振り絞った。最高とは言えない目標を一時は口にしたのに「監督は僕たちから離れずにいてくれた」。感謝を口にすると、涙が頰を伝った。(高億翔)

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