(23日、第106回全国高校野球選手権静岡大会4回戦 藤枝明誠2―3知徳)
藤枝明誠のエース山田十三投手(3年)がマウンドに向かったのは三回、0―3とリードされ、なお1死一、二塁のピンチの場面だった。「とにかく抑えるんだ。ピンチかどうかは関係ない」。そう言い聞かせ、後続を打ち取った。
四回にも、知徳の松本陣主将(3年)の安打から一死満塁のピンチを背負ったが、こんどは守備がエースをもり立てた。右翼に飛んだ打球を処理し、走塁がもたつく間に三塁走者を本塁でタッチアウト。守備から流れを引き寄せようとした。
「体が小さい選手が多く、140キロを越える投手もいない」(光岡孝監督)チームだが、総合力で昨秋の県大会を制した。この日は左打者が多い知徳打線に対し、先発登板は左腕の日吉結雅投手(3年)だったが、継投策を見越して山田投手は序盤から投球練習を重ねていた。皆川皓也捕手(3年)とは「知徳打線は外角が苦手な傾向がある」と話し、外角を意識した投球が奏功。四回から毎回三振を奪った。
打線もエースを支えた。五回に坂上太一選手(3年)の適時打、六回には川崎拳慎選手(3年)の右越え適時打で1点ずつを返し、今大会注目の152キロ右腕・小船翼投手(3年)を攻略した。
しかし、「小船投手より警戒していた」(山田投手)という知徳の左腕、原田勇磨投手(3年)を攻めあぐねた。七、八回とも三塁に走者を進めたが、あと一本が出なかった。
一瀬友希主将(3年)は「十三(投手)で負けたらしょうがない。打線で援護できなくて申し訳ない。自分たちに何が足りなかったか、分からない。後輩たちにはここぞという時に力を出せるチームにしてもらいたい」。(田中美保)
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