(23日、第106回全国高校野球選手権奈良大会準々決勝、智弁学園5―2天理)

 外野席が開放され、多くの観客が詰めかけた注目の一戦は、連覇を狙う智弁学園が制した。

 夏の直接対戦は6年ぶり(2020年の独自大会含む)。序盤から互いに一歩も引かない激戦となった。

 最初に好機が訪れたのは天理。二回裏、主将の松本大和(3年)の右前安打や大谷汰一(3年)のバント安打などで無死満塁とし、川村誠志郎(3年)の犠飛で先制。主導権を握ったかに見えた。

 だが、その直後の三回に逆転を許し、五回に一度は同点に追いつくも、六回に1点、八回に2点を奪われた。

 春の県大会で対戦した時は天理が8―2で勝っていた。だが、この試合、智弁学園の選手たちは1アウトを取るたびにガッツポーズをするなど、気迫を前面に出してきた。松本は「束になってチームで攻めてくる。次は負けないという勢いがあって、春に対戦したときとは全く違うチームだった」

 松本は4番打者を任されただけでなく、この試合は3番手投手としてマウンドにも立ち、投打でチームを引っ張った。

 負けが決まって、智弁学園の校歌を聞いているうちに涙があふれた。「すべてを出し切ったが、相手が上だった。甲子園に行きたかった」。そう声を絞り出した。(佐藤道隆)

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