(23日、第106回全国高校野球選手権鳥取大会準決勝 鳥取城北7―1米子北)
梅雨明けの強い日差しがバッターボックスに照りつけていた。
1点を追う二回表、米子北の先頭打者の舟越慧心捕手(2年)は自信を持って打席に入った。「自分の力だけではなく、チーム全員の後押しでヒットを打てる」。迷いなくバットを振り抜き、左越え二塁打で出塁。その後、1死一、三塁となり、山田健太郎主将(3年)の適時打で同点のホームを踏んだ。
高校に入ってから捕手を始め、昨秋から背番号2をつける。今大会は4番、捕手としてチームの中心に座り、継投が持ち味の投手陣を支えてきた。この日も3投手の計119球を受け続け、ピンチでは大声を出して仲間をもり立てた。
九回表。球場には薄い雲が広がっていた。無死一塁でまわってきた4回目の打席は右飛に倒れた。
チームは準々決勝で3連覇を狙った鳥取商を破り、勢いに乗って迎えた14年ぶりの準決勝。だが決勝には届かなかった。相手の校歌を聞き終え、涙をぬぐう山田主将の背中にやさしく手を添えた。
「3年生のために一つでも多く勝ちたかった。こんな悔しい思いは、もう絶対にしたくない」。とまらない涙をタオルでぬぐいながら、雪辱を誓った。(富田祥広)
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