都市対抗野球大会での活躍を誓う東邦ガスの吉田大喜投手=名古屋港区の東邦ガス空見球場で2024年7月5日午後3時58分、塚本紘平撮影

 第95回都市対抗野球大会に2年ぶりの出場となる東邦ガス(名古屋市)の吉田大喜投手(26)は昨年までプロ野球・ヤクルトに在籍していた。「まだ投げられる」。新天地での活躍に闘志を燃やす。

 大阪府茨木市出身。大冠高3年だった2015年夏の大阪大会では3回戦で18奪三振と活躍。140キロ台の速球を武器に、強豪私立高を苦しめ、府内公立高7年ぶりの準決勝進出に貢献するなど「公立の星」と呼ばれた。

 日体大4年の時には日米大学野球で日本代表に選出。プロのスカウトの目に留まり、19年のドラフトでヤクルトから2位指名を受けた。

 だが、プロ入り後は度重なるけがに悩まされた。入団1年目、開幕前のキャンプで脇腹を痛め、持ち味である150キロ近い速球は影を潜めた。先発として起用された1年目は2勝7敗、2年目はリリーフとして1勝1敗。ふくらはぎ痛の影響もあり、3、4年目は勝ち星がつかず登板機会も減った。

 戦力外通告は予期していた。とはいえ、実際に伝えられると頭が真っ白になった。一時は野球界から足を洗うことも考えた。そんな時、「一緒に野球をやろう」と声をかけてくれたのが東邦ガスの宇津野純一監督だった。熱心な勧誘に「自分はまだやれる」と気持ちも高ぶった。

 社会人野球について「プロはリーグ戦だが、(トーナメント戦の社会人野球は)1試合の重みが違う。なんとしても1勝をもぎとろうとする泥臭さがある」と語る。

 初めて迎えた今年の東海地区2次予選。「独特の雰囲気とレベルの高さを前に、押さえなきゃという思いが力みに変わり、崩れてしまった」というように、リリーフとして2試合で3分の2イニングを投げ3失点と本調子でなかったが、チームは東海第4代表として2年ぶりに本戦に臨む。

 舞台となる東京ドームはプロ野球・巨人のホーム。ヤクルト時代に打たれた苦い思い出のある場所でもある。だが、これからは東京ドームが最高の思い出となる場所にしたい。

 「投げたら何としても無失点で抑えたい。そして勝ってみんなと喜びたい」【塚本紘平】

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