(18日、第106回全国高校野球選手権神奈川大会5回戦 桐蔭学園4―2慶応)
2点を追う九回裏2死、ベンチから戦況を見つめる慶応の主将加藤右悟(3年)の顔には笑みが浮かんでいた。「逆転すると思っていた」。だが、仲間の打球は三塁手の前に転がり、一塁に送球されてゲームセット。
すがすがしい表情で整列したが、スタンドの大応援団にあいさつした後、涙で顔を上げることができなかった。この日、2番手で投げ、七回まで登板したエース小宅雅己(2年)らに肩を抱きかかえられ、ベンチ裏に引き上げた。
昨夏、加藤は甲子園の優勝メンバーとして歓喜の渦の中にいた。だが、新チームが始動し、主将で捕手となった昨秋と今春は、県大会の準々決勝で敗退。悔しさをかみしめつつも、「最後の大会を楽しもう」と決めて夏を迎えた。
春の県大会16強の桐蔭学園を相手に、同点で迎えた九回。痛恨の2失点で勝ち越され、敗れた。「(捕手の)自分の力が足りなかった」。試合後の取材で、加藤は開口一番、全ての責任を背負い込むかのように、涙声で話した。中学時代もバッテリーで、切磋琢磨してきたエース小宅を「もう1回マウンドに立たせてあげられなかった」という思いもこみあげた。
「過程は大切だけど、結果を残せないと認められない。期待してもらっていたのに申し訳ない。悔しいという言葉以外、見つからない」
自らに対する厳しい言葉だけでなく、感謝も口にし、最後の夏を終えた。「(監督の)森林(貴彦)さんのもとで野球をやって人として成長できた。同学年、下級生、みんなに支えられてやってこられた」(手代木慶)
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