(18日、第106回全国高校野球選手権埼玉大会3回戦、大宮東1―0坂戸)

 坂戸のエース、大戸遥貴(3年)は中学生まで捕手だった。高校に入り、肩の強さを宮川浩之監督にかわれて投手になった。

 投手としての投げ方さえよく分からない。何より、投手として必要なメンタルが弱かった。1年生の頃、1アウトも取れずにマウンドを降りたこともあった。

 それでも「球威がある」と宮川監督は投手として起用し続けた。新チームになった昨秋には、宮川監督から「強い気持ちを持て」と背番号1を託された。

 「1番は重い」。背番号が育ててくれたのか、その後に試合を重ねるにつれ、「自分が決めなきゃダメなんだ」という自覚が徐々についてきた。ジャンプを繰り返す練習で鍛えた下半身が安定し、ストライクもとれるようになってきた。

 この日も1点を失った直後の三回から登板し、六回途中まで無失点で切り抜けた。「インコースにまっすぐを投げ切れた。3年間の集大成を見せられたと思います」

 進学予定の大学で、野球を続けるかどうかは決めていない。ただ将来の夢は決まっている。「高校野球で鍛えたメンタルをいかし、父のような警察官になりたい」(深津慶造)

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