(15日、第106回全国高校野球選手権岩手大会2回戦、花巻農0―5花巻東)

 1点をリードされた三回裏。花巻農の左腕・小原幸斗(ゆきと)投手(3年)は2死二塁で4番の強打者を迎えた。でも、焦りはなかった。「自分が大事な場面でミスするタイプなのは分かっている。だからこそ、笑顔だ」

 暴投で三塁まで進塁を許したが、集中し、スライダーで空振り三振に打ち取った。「っしゃあ!」とベンチへ。強豪との接戦にチームは盛り上がった。

 心がけていることがある。笑顔だ。「先輩の投手が笑顔になると、みんなに広がった。それを見て、自分もずっと笑顔でいようと。そうすれば、自分もチームも安心できる」。この日、自身がミスをしても、一塁手の高橋世良選手から「気にすんな」と声がかかり、顔をほころばせた。

 これまで花巻東との対戦ではコールド負けが多かった。この日は五回表には1死満塁の好機をつくるなど攻め立てた。だが、あと1本が出ず、終盤に追加点を奪われ、敗れた。

 試合終了後、球場から温かい拍手が送られた。小原投手は「めちゃくちゃ楽しかった。3年間で一番良い試合ができた」。3年生が抜けると、選手は8人になる。「今日のプレーを見て、花農で野球をやりたいと思う人が出てきてほしい」。敗れたが、満足げな笑みを見せた。(藤井怜)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。