高校野球の育成と発展に尽くした指導者を日本高校野球連盟と朝日新聞社が表彰する「育成功労賞」に、愛媛県内からは松山南の亀井昭三監督(61)が選ばれた。「長い間コツコツとやってきただけ」と話す。

 1―1の九回裏、味方の中堅手の頭上を打球が越え、勝負が決した。

 松山南のエースだった3年の夏、3回戦で松山商にサヨナラ負けした。日程などを考慮され、この試合は左翼手で出場。高校最後の試合で、マウンドに立てなかった。

 「甲子園を目標に頑張っていた。やり切った感がなかった」。指導者をめざしたのはこの後だ。

 体育教員となり、初任校は今治西。強豪野球部の顧問を務めた。当時の部員には、今治北の重沢和史監督や松山商の大野康哉監督がいる。

 選手たちの能力は、高校時代の自分と大きな差はなかった。「甲子園に行きたいという本気度が全然違う」。やる気を引き出す大切さを学んだ。

「やるからには甲子園」

 モットーは「一緒に汗を流す」。持久走や打撃投手では、選手たちと本気で勝負してきた。

 出向で学校現場を離れた40代半ばを除き、松山南、東温、北条、伊予農で、野球の指導を30年以上してきた。

 「試合に勝ちたいより、野球の醍醐(だいご)味を生徒に伝えたい気持ちが強くなってきた」

 野球の魅力とは。「誰でもヒーローになれるチャンスがある。ピンチを我慢してしのいだときの一体感」と話す。

 趣味はマラソン。自己ベストは、土日が休みだった出向中に記録した2時間48分だ。

 元高校球児たちが戦う「マスターズ甲子園」に、毎年参加している。

 選手としても監督としても、甲子園の出場経験はない。「やるからには甲子園。やめるまで目標」(中川壮)

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