第106回全国高校野球選手権高知大会の開会式が13日、高知市の県立春野球場で開かれた。参加27校、23チームの選手やマネジャーが、先導役の高知・近藤晴大(はると)さん(3年)に続いて入場行進した。
午前8時半、スタンドに陣取った高知国際中学・高校吹奏楽部員がファンファーレを奏でて式は始まった。同部員70人が行進曲を演奏し、選手たちを鼓舞した。小島俊部長(2年)は「雨を考慮してスタンドでの演奏になったが、練習の成果は発揮できた」と話した。
高知県高校野球連盟の山岡晶会長は「病気やけが、勉強との両立など様々な困難を克服して皆さんはここに立っています。野球に対する情熱、思いを思い切りぶつけてください」とあいさつ。
朝日新聞高知総局の竹田真志夫総局長は「甲子園100年の年に、大会を開催できるということは平和で平穏だということだと心にとめてほしい。頑張ってほしい」と述べた。
浜田省司知事は「一生の思い出となるような戦いが繰り広げられることを期待しています」との祝辞を寄せ、鈴木智哉・県教委参事が代読した。(蜷川大介)
「甲子園をかけた挑戦」 高知中央・柳原主将が選手宣誓
「幼い頃から夢見た甲子園。夢を目標に変え、高校野球をスタートさせた。そして今日、甲子園の出場をかけた私たちの挑戦が始まる」
選手宣誓をした高知中央の柳原太樹郎(たいじゅろう)主将(3年)の脳裏にあったのは、昨夏の甲子園の開会式で選手宣誓をした先輩、西岡悠慎主将(当時)の姿だった。「背中が大きく頼もしく見えた。今日は自分の背中を、苦楽を共にしてきた仲間たちに見せたかった」
内容は、1週間かけ仲間と相談して考えた。こだわったのが、野球を取り巻く環境だ。
「全国で野球人口が減少の一途をたどっている。私たちが全力で戦う姿を少年少女の心に刻み、野球の楽しさ、高校野球の素晴らしさを伝えたい」と盛り込み、次世代へのバトンを意識した。
緊張したが、一言も間違えずに言い切れた。「ホッとしました。試合では挑戦者の気持ちで戦いたい」と話した。(羽賀和紀)
司会進行は女子マネジャー2人
開会式の司会は、土佐塾の曽我部優さん、丸の内の田辺貴美子さんが担った。
いずれも野球部マネジャーの3年生。大会で司会を務めた先輩に憧れ、秋や春の公式戦で場内アナウンスを務めてきた。特に女子マネジャーが6人と多い丸の内では「スコア(記録)組」と「放送組」に分かれて経験を積んできた。2人とも「しっかり司会進行できたと思う」と笑顔だった。(蜷川大介)
「君が代」独唱は丸の内音楽科の谷脇さん
開会式では丸の内の音楽科で声楽を専攻している谷脇心菜実(みなみ)さん(3年)が「君が代」を独唱し、透明感のある声を響かせた。
合唱でソロパートを歌うことは多かったが、たった一人での大舞台。野球好きの祖父ら家族もスタンドで聴き入った。「緊張して息があまりとれなかったけど、ベストを尽くしました。選手の皆さん、頑張ってください」と話した。(蜷川大介)
土佐のマネジャー、ユニフォーム姿で始球式
高知市営の始球式で投手役を務めたのは、土佐の女子マネジャー吉田悠夏さん(3年)。監督から借りた予備のユニホームを着てマウンドへ。投球は捕手の直前でバウンドしたが、「緊張してた割には良い球」と笑顔を見せた。
土佐の野球部で初めての女子マネジャーだ。猪原妃乃さん(3年)と一緒に志願し、2人で入部を認められた。試合のスコアをつけ、時にはノックをすることも。全力で選手たちを支えてきた。
始球式には、選手たちや父親とキャッチボールを重ねて臨んだ。「かっこいいユニホームも着れたし、いい思い出になりました」と話した。(原篤司)
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