(13日、第106回全国高校野球選手権岡山大会1回戦 興陽5―2岡山芳泉)

 逆転を許した七回終了後の給水時間。チームメートが一息つく中、岡山芳泉の高橋護(3年)は右手一本で何度もバットを振った。「打席に立ちたい」。チームに貢献したいとの思いを強く抱いていた。

 生まれたときから左腕がない。小学校ではサッカー、中学校では科学部。野球はもっぱら観戦派だったが、小学校からの幼なじみである珍行拓人(3年)のプレー姿を見てあこがれた。2年で始めた。

 背番号13は、ベンチから声を張り上げ続けた。「相手の勢いをかき消すつもりで声を出した」。代打を告げられたときのための心の準備も怠らなかったが、入部を誘ってくれた珍行が最後の打者に。最後の夏が幕を閉じた。

 「1年ちょっとだったけど、人生で一番夢中になれた」。一つの目標に打ち込んで最高の人間関係を作ることができた。仲間に感謝したいと思っている。(小沢邦男)

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