(13日、第106回全国高校野球選手権岐阜大会1回戦、関商工1―0池田)

 相手は春の県大会4強の第1シード・関商工。池田の背番号1をつける青山祥己投手(2年)は抽選会で対戦が決まると「いつも勝ち上がってくる強いチーム。楽しみ」とむしろ奮い立った。

 この日はアウトコースとインコースの投げ分けが抜群だった。130キロ代前半の直球やカーブを散らし、関商工に的を絞らせない。凡打の山を築いた。六回2死一、二塁のピンチには「絶対打ち取ってやる」とアウトコースへ強気のストレート。三振で切り抜けた。

 0対0のまま、延長戦の雰囲気が漂い始めた八回、最大のピンチが訪れる。2死二塁で打席には関商工の5番・鈴木悠人選手(1年)。「高めに浮いてしまった」。痛恨の適時二塁打を浴びた。

 その裏、味方は2死満塁と一打逆転の好機を迎え、青山投手に打順が回った。だが代打を送られた。「打ってくれ」。ベンチから祈ったが、届かなかった。

 福島秀一監督は「コントロールミスがなかった。粘り強く、本来の投球をしてくれた」とたたえた。

 試合後、青山投手に涙はなかった。「攻めの投球ができた。実力以上の力を発揮できた」。そう振り返りつつ評点は「80点です」。

 先輩たちからは普段から「アウトコース中心で投げろ」とアドバイスを受けていた。この日はその通りの投球。「感謝しています。ありがとうございました、と伝えたいです」

 まだ来年がある。「球速を上げ、もっとアウトコースに投げられるよう頑張りたい」と雪辱を誓った。(高原敦)

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