(10日、第106回全国高校野球選手権千葉大会1回戦、市銚子12―4大多喜=7回コールド)

 10点差。この攻撃で無得点ならコールド負けとなる5回裏。大多喜の主将・中村海人(3年)は1死走者なしの場面で打席に立った。

 「死んでも打つ」

 初球はコースから外れた。球を見極め、2球目を左前に運ぶ。意地の一打で塁に出た。

 その後、相手の暴投や失策があって、生還。「ここからだ」と思える、流れを変えた貴重な1点の立役者となった。

 チームは続く六、七回も、つないで加点。「最後まであきらめない」という姿を見せられた。

 練習後、グラウンド整備や道具の整理をしてから、誰よりも遅く下校する。その姿勢は周囲から慕われる。

 試合後、仲間から「お前がキャプテンで良かった」と声をかけられた。気づくと涙が出ていた。

 後悔の涙ではない。

 「最高の仲間と全力でプレーした結果。本当に楽しかった」(芹沢みなほ)

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