滋賀県の野球チームで中学生に暴力を振るってけがをさせ、包丁を突きつけ「殺すぞ」と脅すなどした疑いで、指導者の男が逮捕されました。男はプロ野球選手を育てた名指導者として知られていました。

■「人刺すの簡単やから。刺したろか」野球指導者が傷害などの疑いで逮捕

「人刺すの簡単やから。刺したろか」 指導者が中学生に対しかけたとされる恐ろしい言葉。

近江八幡市にある野球チームの指導者・小寺学容疑者(43)は、ことし5月11日に行った1泊2日の野球合宿で、男子中学生に暴行を加えけがをさせるなどした傷害などの疑いで逮捕されました。

警察によると、小寺容疑者は午後11時から翌日の午前5時ころまでの間、チームに所属する中学1年の男子生徒(当時12歳)の顔などを数十回殴ったり、胸を踏みつけたりして、けがをさせた疑いが持たれています。

また、別の中学2年の男子生徒に(当時13歳)対しては頭や顔を複数回殴った上で、包丁を持ってこう脅迫したといいます。

【小寺学容疑者】「殺すぞまじで。俺は平気で刺すぞ。人刺すの簡単やから、刺したろか」

■容疑者はプロ野球選手も育てた地元で有名な野球指導者

小寺容疑者はどんな人物なのか。知人男性によると、近江八幡市ではプロ野球選手を育てた有名な指導者だったといいます。

【小寺容疑者の知人】「プロに何人も送っているので、指導力も高かったと思います。普段、指導で熱くなりすぎず、かんしゃくを起こさなければ問題ない方だと思う」

知人男性によると小寺容疑者は、5年以上前に指導していた別の野球スクールでも同様の暴力的な指導を行っていたといいます。

【小寺容疑者の知人】「ビンタはよく見ました。(Q生徒たちの様子は?)びくびく、おどおどですね」

いきすぎた指導はなぜ「黙認」されていたのでしょうか?

【小寺容疑者の知人】「小寺君に面倒を見てもらうことによって、自分の子どもの進路につながるという考えの保護者が多くて、たたかれたりしてもついていく。(Qずっと見過ごされてきた?)文句を言ってきた親御さんは辞めさせていました。『ついて来られない、俺のやり方が気に食わないならやめろ』と」

また、野球指導以外の場でも…

【小寺容疑者の知人】「お酒が好きで、暴力的でトラブルメーカーというのは有名だったので。ビール瓶で人の頭を殴るのを生で見ました」

警察によると、事件発生時、小寺容疑者は酒を飲んでいた疑いがあるということです。

調べに対し、全面的に容疑を否認している小寺容疑者。警察は余罪があるとみて捜査しています。

■子どもが『嫌だ』『おかしい』と言える環境になっているか

事実だとすれば許されない行為です。

「newsランナー」コメンテーターで前尼崎市長の稲村和美さんは、「指導としていき過ぎているのではなく、犯罪です。進路が気になったり、実績があって知名度のある指導者だということで、問題の言動があったとしても言い出せず、是正されるチャンスが少ないというのは、この事件に限らずあることなのかと思います。エスカレートする以前にしっかり対応していくことを、社会の目としてやっていかないといけないんじゃないか」と話しました。

指導者が権力を振りかざして問題行動に及ぶことは後を絶ちません。

【関西テレビ 加藤報道デスク】「スポーツ指導の現場に詳しい知人に聞いたのですが、このような指導者の多くは、自分に成功体験があって、自分のやり方を体罰も含めて正しいと思い込んでしまっているんです。ですので保護者もいき過ぎていないかというところに目を向けてほしいです。また子どもが『嫌だ』とか『おかしい』と言える環境を作っているかに一回立ち返って、おかしいことはおかしいと言っていいんだよと教えていただきたいと思います」

子どもたちの“SOS”の声を拾う手立てが必要になります。

(関西テレビ「newsランナー」 2024年7月10日放送)

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