野球には興味がなかった。そんな熊本県立御船(御船町)のマネジャー、坂田友愛さん(3年)が野球を好きになったのは、中学時代のこと。家族がテレビで見ていたプロ野球中継で逆転ホームランの場面を目にしたときだった。

 「どうして、こんなにたくさんの点が1度に入るのだろう」と興味が湧いた。野球好きの祖父や父、同級生たちに少しずつルールを教わった。

 高校1年の夏には、友人から誘われて野球部マネジャーに。練習試合でベンチに入り、間近で見た野球には迫力があった。

 「私と同じ高校生がこんなにすごいプレーをするのか」。すっかり高校野球の魅力にはまった。

 自分のチームの試合がない日でも、大会で他のチームの試合を見に行くようになった。独学でスコアのつけ方を覚えて、選手一人ひとりの打率や出塁率、長打率などのデータも算出した。

 それを見た選手たちが、「打率がここまで落ちたのか。今日は絶対にヒットを打とう」「盗塁数少ないから、狙ってみよう」と発奮材料にしてくれるのがうれしい。

 監督の山下義春教諭(39)は、坂田さんがまとめた数値をもとに、「フェアグラウンドに飛んだ打球がアウトにつながった確率」をはじき出した。「この確率が低い試合ほど失点が多い。まずはアウトに出来る打球を確実にアウトにして率を上げよう」と指示して、チームの平均失点を減らすことに役立てているという。

 御船はこの夏、6校連合のチームで大会に臨む。坂田さんは、味方のスコアにヒットを表す「赤い線」をたくさん引いて、みんなが笑顔になるデータを出したいと願っている。

 6校連合のチームは9日、開新と対戦する。(吉田啓)

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