48年ぶりに自力でオリンピックに出場するバスケットボール男子の日本代表は7日に国内最後の強化試合を終え、最終的なメンバー12人が8日発表されました。

このなかでは、NBA=アメリカプロバスケットボールレイカーズの八村選手や、今シーズンまでNBAでプレーした渡邊選手が東京大会に続いて選出されました。このほか東京大会に続いてのオリンピック出場となるのが富樫勇樹選手、比江島慎選手、馬場雄大選手、渡邉飛勇選手です。そして東京大会では3人制の3x3に出場した富永啓生選手も選ばれました。

初出場となるのが河村勇輝選手、ジョシュ ホーキンソン選手、テーブス海選手、吉井裕鷹選手、そして、チーム最年少で20歳の大学生、ジェイコブス晶選手です。

世界ランキング26位の日本はトム・ホーバスヘッドコーチのもと厳しいディフェンスとスリーポイントシュートを中心とした戦術でベスト8進出を目標にしています。

【12人全名簿】

※氏名の前の番号は背番号

2.富樫勇樹(30)

中学を卒業したあと、アメリカの高校に留学し、NBA入りを目指しました。その後、Bリーグの千葉ジェッツでプレーし、今シーズンまで8年連続でBリーグのベストファイブに選ばれ、2019年には、レギュラーシーズンのMVPに輝くなど長年トッププレーヤーとして活躍しています。Bリーグでの通算アシスト数は歴代1位で、スリーポイントシュートの通算成功数もことし3月に史上初めて1000本に到達しました。

日本が48年ぶりに自力でのオリンピック出場権を獲得した去年のワールドカップではキャプテンを務め、同じポジションの河村勇輝選手と互いを高めあいながらチームを引っ張りました。東京大会に続く2回目のオリンピックに向けては「1勝することでベスト8にいける可能性はあるので目の前の試合を全力で戦っていきたい」と話しています。

4.ジェイコブス晶(20)

左利きで身長2メートル3センチの高さがあり、巧みなボールハンドリングと高い打点から放つスリーポイントシュートが持ち味です。日本で生まれたあと幼少期はアメリカで過ごし、4歳からバスケットボールを始めました。2020年に帰国してBリーグの横浜ビー・コルセアーズの18歳以下のチームに加入し、2021年には特別指定選手として17歳7か月で当時のB1最年少デビューを果たしました。その後はNBA入りを目指す選手の育成プログラム「NBAグローバルアカデミー」に参加し、現在はアメリカの大学バスケットボールNCAA1部のハワイ大学でプレーしています。

去年のワールドカップでは直前で代表メンバーから外れ、これがこれまでで最も悔しい経験だったということで、そこから1年でウェイトトレーニングなどでフィジカル面を強化し、体重は8キロほど増えました。NBA入りを目指し八村塁選手と渡邊雄太選手を手本にしていて、初めての出場となるオリンピックを「日本のバスケットボールの進化を見せるチャンス」と位置づけています。

5.河村勇輝(23)

広い視野をいかしたパスに加えスピードを生かしたドライブやスリーポイントシュートなど得点力も高い、万能型のポイントガードです。高校時代から注目され、2020年には高校生ながら特別指定選手としてBリーグの三遠ネオフェニックスに加入し、18歳8か月で当時のリーグ史上最年少出場を果たしました。その後は横浜ビー・コルセアーズに加入し2023年にはレギュラーシーズンのMVPと最優秀新人賞を同時に受賞する快挙を果たしました。

日本代表にはおととしデビューし、主力として臨んだ去年のワールドカップでは、1次ラウンドのフィンランドとの試合で25得点を挙げるなど持ち味のスピードで海外勢の高さに対抗できることをプレーで示しました。来シーズンはNBAに挑戦する考えを明らかにしていて、グリズリーズと開幕前のキャンプに参加する契約を結ぶことになっています。日本代表では尊敬する先輩の富樫勇樹選手と激しいポジション争いをしています。

6.比江島慎(33)

「比江島ステップ」と呼ばれる独特なリズムのドライブとスリーポイントシュートを持ち合わせた高い得点能力が特長です。

日本代表には2012年から選ばれ、長年、主力選手として活躍してきました。去年、沖縄県で行われたワールドカップにも出場し、48年ぶりとなる自力でのオリンピック出場権獲得に貢献しました。オリンピックは東京大会に続いて2回目の出場です。Bリーグのシーホース三河でプレーしていた2018年にはレギュラーシーズンのMVP=最優秀選手に輝きました。その後、オーストラリアのリーグに挑戦し、2019年にはNBA=アメリカプロバスケットボールの若手選手などがプレーするサマーリーグに参加しました。その後は宇都宮ブレックスでプレーし今シーズンはリーグトップの44%の成功率でスリーポイントシュートを決めています。

7.テーブス海(25)

ゴール下に切り込む鋭いドライブが持ち味です。高校2年生のときにアメリカに渡り、大学ではNCAAでプレーしたあと、日本に戻りました。2021年にはBリーグの最優秀新人賞を受賞し昨シーズンはアルバルク東京でプレーしました。父親はカナダ人でWリーグの富士通のヘッドコーチを務めるBT・テーブスさんです。

去年のワールドカップでは直前でメンバーから落選し、悔しい経験をしましたが今回、初めてのオリンピック代表に選出されました。

8.八村塁(26)

父はアフリカのベナン出身で母は日本人です。高さやすぐれた身体能力を生かしたゴール下のプレーや精度の高いジャンプシュートによる得点力が持ち味です。宮城県の仙台大明成高校では全国高校選抜大会で3連覇を達成し、卒業後はアメリカの強豪、ゴンザガ大学に進学しました。当初は、英語でのコミュニケーションや戦術理解に苦しみましたが、年々プレー時間を増やし、3年生のシーズンではチームの主力に成長して活躍を続け、全米でもトップクラスの選手として評価を高めました。2019年に、日本選手として初めてNBA=アメリカプロバスケットボールのドラフトの1巡目9位でウィザーズから指名を受けました。ウィザーズでは4シーズン目の途中までプレーし、去年1月、トレードでレイカーズに移籍しました。レイカーズでは昨シーズンの後半から先発に定着し、エースのレブロン・ジェームズ選手などとともにチームをけん引しました。

日本代表としては前回の東京オリンピックに出場し、開会式では旗手の大役も務めました。日本が48年ぶりにオリンピックの出場権を獲得した去年のワールドカップは欠場していて、日本代表としてプレーするのは東京大会以来となります。

12.渡邊雄太(29)

高校生で日本代表候補に選ばれるなど早くから将来を期待され、卒業後はアメリカに留学してNCAA=全米大学体育協会1部のジョージ・ワシントン大学の主力としてプレーしました。大学卒業後はNBAの下部リーグでプレーしたあと2018年にグリズリーズで日本選手2人目となるNBAプレーヤーとなりました。去年、サンズと2年契約を結びましたが、プレータイムは多く与えられず、トレードで古巣のグリズリーズに移籍し、シーズン終了後に来シーズンからは日本でプレーする考えを明らかにしています。左利きで、献身的なディフェンスとスリーポイントシュートを持ち味にNBAで6シーズンを過ごし、通算213試合に出場し、平均4.2得点、2.3リバウンドという成績を残しました。

日本代表としては東京オリンピックで予選リーグ3戦全敗を喫し去年のワールドカップの前には「このチームでパリオリンピックに行けなかったら、代表活動は最後にしようと思っている」と話しました。その思いに応える形でチームが1つになり、自力では48年ぶりのオリンピック出場権獲得につながりました。

18.馬場雄大(28)

スピードと高い身体能力をいかしたダイナミックなプレーが持ち味です。筑波大学在学中にBリーグのアルバルク東京でプレーし、1年目で最優秀新人賞を獲得、2年目は、チームのリーグ2連覇に貢献してチャンピオンシップファイナルのMVPに選ばれました。2019年にNBA入りを目指してアメリカに渡り、下部リーグのチームでプレーし、その後、オーストラリアのチームを経て昨シーズンはBリーグの長崎ヴェルカに加入しました。国内のチームでは5シーズンぶりのプレーとなりましたが、ベストディフェンダー賞を獲得するなど健在ぶりを示しました。

日本代表でも中心選手の1人で、3年前の東京オリンピックでは3試合すべてに先発出場したほか去年のワールドカップでも活躍し日本のオリンピック出場権獲得に大きく貢献しました。オリンピックには東京大会に続いて2回目の出場です。

24.ジョシュ ホーキンソン(29)

アメリカ出身で2023年に日本国籍を取得しました。身長2メートル8センチのビッグマンで、高さを生かしたリバウンドやディフェンスに加え、それに速攻にも走れる脚力があり外からのシュート力も持ち合わせたオールラウンダーです。2017年にBリーグのB2のチームでプロとしてのキャリアをスタートさせ、現在はB1のサンロッカーズ渋谷でプレーしています。

2023年2月の国際試合で日本代表にデビューしワールドカップでは5試合の平均出場時間が34分を超えました。これは渡邊雄太選手に次いでチームで2番目に長い出場時間で、48年ぶりの自力でのオリンピック出場権獲得に大きく貢献しました。

30.富永啓生(23)

左利きのシューターで得意とするのはスリーポイントシュートです。中でもゴールから離れた距離から決める「ディープスリー」は富永選手の代名詞です。両親とも実業団でプレーしていた元バスケットボール選手で、日本代表でもあった父親の啓之さんの身長は2メートル11センチです。愛知の桜丘高校時代は全国高校選手権やウインターカップで得点王を獲得し、その後はNBA入りを目指してアメリカに留学し、その後、ネブラスカ大学に編入しました。アメリカでは持ち味のスリーポイントシュートに磨きをかけたほか、フィジカル面でも成長を遂げてNBAのチームの練習にも参加しました。ことし5月に大学を卒業したあと、6月のNBAのドラフトでは指名されませんでしたが、ペイサーズとキャンプに参加する契約を結びドラフト以外の道からNBA入りを目指しています。ともに日本代表としてプレーする同世代の河村勇輝選手と仲がよく、合宿でも2人でシュート練習などをする姿が見られます。

34.渡邉飛勇(25)

昨シーズンはBリーグの琉球ゴールデンキングスでプレーし、信州ブレイブウォリアーズに移籍することが決まっています。アメリカ人の父親と日本人の母親の間に生まれ、身長2メートル7センチの高さとすぐれた運動能力を兼ね備えたビッグマンです。高校2年生まではバレーボールをメインにプレーしていましたが、アメリカのポートランド大学で本格的にバスケットボールに転向しました。

前回の東京オリンピックではチーム最年少の22歳で日本代表に選ばれましたが東京大会のあとはけがに苦しみ、Bリーグでも長期離脱する期間がありました。けがからの復帰を果たして、2回目のオリンピック代表選出です。

91.吉井裕鷹(26)

フィジカルを生かしたディフェンスと得点能力の高さが持ち味のオールラウンダーで、昨シーズンはBリーグのアルバルク東京でプレーし三遠ネオフェニックスに移籍することが決まっています。

2022年、若手の有望選手を集める日本代表のキャンプに初めて招集されてトム・ホーバスヘッドコーチの信頼をつかみました。去年のワールドカップでもメンバーに選ばれ、5試合ともにベンチスタートでしたが、出場時間はチームで5番目に長く、献身的なプレーで日本のオリンピック出場権獲得に貢献しました。Bリーグの試合前には、両手にペンライトを持ちながらキレのある踊りを披露するなどファンを楽しませるユニークな一面もあります。今回、初めてのオリンピック出場です。

トム・ホーバスHC“絞り込むのは本当に難しかった”

日本代表のトム・ホーバスヘッドコーチは「この2か月でおよそ40人の選手から12人に絞り込むのは本当に難しいプロセスだったが選手全員が一生懸命に取り組んでくれたことに感謝する。このメンバーでパリオリンピックで戦うことを楽しみにしている」と選手選考についてコメントしました。そのうえで「日本での最後の強化試合4試合では望んでいた結果は出なかったが、課題も見つかり、オリンピックまでに修正できると思う。チームの目標であるベスト8を達成して、決勝トーナメントが行われるパリでプレーできることをとても楽しみにしている」としています。

五輪 予選リーグは3試合とも格上との対戦

パリオリンピックのバスケットボール男子は12チームが出場し、予選リーグは4チームずつが3つのグループに分かれて総当たりで対戦します。

このうち、日本と同じグループBに入る最後の1チームは最終予選の結果、世界12位のブラジルに決まりました。ブラジルは自国開催だった2016年のリオデジャネイロ大会以来、2大会ぶり16回目のオリンピック出場となります。

世界26位の日本は予選リーグの初戦で世界3位のドイツと、2戦目は開催国で世界9位のフランス、そして第3戦でブラジルと対戦します。

このほか最終予選では、世界2位のスペインと世界14位のギリシャ、そして世界16位のプエルトリコが出場権を獲得し、パリオリンピックに出場する男子の12チームが出そろいました。

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