(8日、第106回全国高校野球選手権佐賀大会2回戦 唐津東4―2致遠館) 致遠館が九回の守備についている時、ベンチで徳田陽介選手(3年)は松永達夫監督から声をかけられた。「代打あるかもしれんけん」
準備はできていた。出番は2点を追うその裏2死から。代打に起用され、「まだ、この仲間で野球をやっていたい。絶対、打ってやる」と打席へ向かった。チームは六回から登板した相手の2番手投手に1人の走者も出せていなかったが、「高めに浮いた球をたたくイメージで振り切ればライナーが飛ぶ」と考えた。
2球目を思ったように振ったが、「バットが下から出てしまった」。ライトフライで試合は終わった。
佐賀市立小中一貫校松梅中学部ではバレー部のウィングスパイカーだった。致遠館で投手だった二つ上の兄に憧れ、野球部に入った。1年の時は、エースになった兄を応援した。ずっと野手だったが、昨年、監督から投手を薦められ挑戦してみた。兄の投手用グラブをはめて投げた。そんなに簡単ではなく、結果は出なかった。大会前、「野手でいきます」と監督に告げた。初戦の開幕戦は出番がなかった。
徳田選手は「(野球を)高校から始めたのに仲間がよくしてくれ、最後までやりきれた」。松永監督は「戦える集団になった。野球をやってきたことがそれぞれの今後にいかされると思う」と話していた。(森田博志)
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