(8日、第106回全国高校野球選手権神奈川大会1回戦 横浜翠陵7―1湘南学園)

 緑色のメガホンが揺れるスタンドで、ひときわ大きな声援を送る女子部員がいた。

 「集大成のノックができた」。つい5分前まで立っていた場所を見下ろしながら、横浜翠陵の高柳依奈マネジャー(3年)は声を弾ませた。

 3年生のマネジャーは2人。記録員としてベンチ入りできるのは1人だけ。ならば、ノッカーになろうと決めた。

 野球は未経験で、最初はバットに球がかすりもしなかった。「エラーはノッカーの責任。良い守備は選手の力」。部員らにもノックを受けてもらい、上達していった。

 この日は、緊張で空振りし、選手に「落ち着いて!」と声をかけられる場面もあった。ふと、帽子のつばの裏に書かれた「力強いスイングに思いを乗せて」など、部員らからのメッセージが目に入り、気合が入った。

 「あっという間の7分間」が終わると、「ナイスノック!」と駆け寄ってきた記録員の山本純白(ましろ)マネジャー(3年)と笑顔でハイタッチ。試合は、併殺を奪うなど好守備もあって勝利した。「選手に感謝したい。私に何度でもノック打たせてね」(手代木慶)

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