第106回全国高校野球選手権群馬大会は7日は1回戦8試合があった。渋川青翠は高崎東を1点差で破り、太田は安中総合を相手に延長十回タイブレークの末に勝利。明和県央も伊勢崎工にコールド勝ちし、シード3校がいずれも2回戦に進んだ。8日は1回戦9試合が予定されている。
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安中総合は、シード校・太田を相手に九回1死まで1点をリードしていた。だが、追いつかれ、延長十回タイブレークで散った。整列を終え、ベンチに引き上げると、三塁コーチの入沢大輝(3年)は泣き崩れた。
小学5年から中学1年まで3年間、不登校に苦しんだ。そんな自分を救ってくれたのが、野球部の仲間たちだった。まともに運動をしてこなかった自分に、「一緒にやろうよ」と声をかけてくれた。安中総合の野球部に誘ってくれたのも、同じ中学の3人のチームメートだった。
打って、投げて、走って、という戦力にはなれなかったが、野球の研究に没頭した。相手守備力を見抜く力を身につけ、走者の進塁を判断する三塁コーチに抜擢(ばってき)された。「みんなと同じグラウンドにいられる。チームの一員として力になれる。それが幸せでした」
同点の七回裏。入沢の好判断が光った。1死二塁から、中前安打。二塁走者を本塁に突入させるか、三塁で止めるか。相手守備の肩を計算し、入沢は止めた。ここまで2長短打と当たっている次打者・岡田佑の打力に賭けた。読みは的中し、勝ち越し適時打で2―1。「勝てる」。三塁コーチスボックスで、ガッツポーズを繰り返した。しかし、シード校の底力に屈した。
「苦しいです。でも、こんなつらい思いができるのも、みんなのおかげです」。震える声で、仲間への感謝を繰り返した。(抜井規泰)
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県内各地で今年の最高気温を更新した7日、太田の一塁側スタンドでは、黒ずくめの一団が応援を取り仕切っていた。男子生徒でつくる伝統の「太田高校応援団」だ。
冬服の学ラン姿の団員10人を率いるのは、羽織袴で声をからす団長の長竹大和さん(3年)。2年生だった昨年は、学ラン姿で40キロあるという団旗の旗手を務めた。
見ている方が暑くなりそうないでたちだが、「熱中症対策を万全に、この『あつさ』以上の『あつい』応援を送ります」。(抜井規泰)
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