(7日、第106回全国高校野球選手権静岡大会1回戦 吉原6―5沼津城北)

 九回裏に土壇場で追いついた吉原が今大会初の延長戦を制した。

 初回に連打で3点を取ったものの六回に逆転された。それでもあきらめず、後がない九回裏、1死から連続二塁打で追いついた。

 延長十回表、無死一、二塁から始まるタイブレークの守りが吉原を象徴していた。2番手の山橋拓真投手(3年)が力強い速球を投げ込み、内外野が動きよく飛球をグラブに収めた。

 その裏、タイブレークの走者を着実にバントで二、三塁に送ると、横山皇選手(1年)の左前打で斉藤新太選手(2年)がサヨナラのホームへ滑り込んだ。

 試合を通じて、相手に傾きかけた流れを引き戻したのは粘り強い守りだった。三遊間のゴロをうまくさばいたり、ダブルプレーで相手の好機を阻んだりした。

 「流れを変えるような心強い守りだった」。唯一の女子部員としていっしょに練習してきた後藤詩音選手(3年)はそうたたえた。

 小学校で野球に打ち込み、中学校ではソフトボール部に。高校では「野球をやりたい」と吉原の野球部の門をたたいた。外野手として練習に励み、練習試合に出たこともある。

 監督から「ノッカーをやってみるか」と言われ、冬から挑戦してきた。女子は選手として大会に出られないが、ノッカーはできる。ティー打撃などで鍛えてきた。

 7日の試合前練習では内野ノックを担当した。三塁線、三遊間の厳しいコースに打ち込み、選手たちの体を動かした。「コーチと同じかそれ以上。むしろコースは厳しいです」と古屋慶伍主将(3年)。練習でも試合でも、部には欠かせない存在だ。

 本番には壮行会で3年生に贈られた打撃用手袋でノックに臨んだ。2回戦に向け、さらに意気込む。「きょうエラーが出たコースは打っていなかった。1週間、実戦に近いノックで備えたい」(大海英史)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。