(7日、第106回全国高校野球選手権西東京大会1回戦 練馬11―9翔陽)

 六回まで練馬打線を1失点に抑えていた先発の翔陽のエース・岡田悠生(3年)は七回、突如大きく崩れた。

 2死満塁、相手走者を封殺しようと投げた球がそれ、外野を転々。2人に生還され、逆転を許した。さらに内外野の失策が続き、一挙6失点。八回も4点を失った。

 炎天下、ここまで一人で投げ抜き、157球。岡田はもう限界かもしれない――。北上康一監督は練馬の攻撃を抑え、ベンチに戻った岡田にこう声をかけた。「最後、替わろうか」

 だが、岡田は応じなかった。「どんなときでも仲間を引っ張るのがエース。最後までその姿でいたかった」。次のイニングもマウンドに立つことを志願した。

 九回も岡田は顔色一つ変えなかった。ユニホームで大粒の汗をぬぐいながら、黙々と自慢の直球で真っ向勝負を挑み続けた。そんなエースの姿勢に仲間は応え、九回裏3点を返した。

 試合後、北上監督は岡田について、「ずっと彼に頼ってきた」と感謝の意を示した。自身は野球経験がなく、岡田が実質的にチームを引っ張ってくれたと感じている。「最後までチームの支柱でいてくれた。本当によく投げてくれた」。エースの169球をそうねぎらった。=スリーボンド八王子(吉村駿)

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