(6日、第106回全国高校野球選手権三重大会1回戦 尾鷲8―5いなべ総合)
ピンチを迎える度に、いなべ総合の捕手・杉山拓空選手(3年)はマウンドに駆け寄り、投手に前向きな言葉をかけた。
「自信を持って投げてこい」「絶対に大丈夫だからな」
- 昨夏代表のいなべ総合が初戦で尾鷲に敗れる 高校野球三重大会
初回に先制を許し、同点の九回表に満塁本塁打を打たれる苦しい展開だった。それでも本塁打の直後の打者をアウトにすると、「必ず逆転しよう」と大きな声をあげた。
野球を始めた小学2年から捕手だった。新チームになった昨秋に背番号「2」を託された。
この1年はキャッチングなどの基礎技術に磨きをかけ、投手とのコミュニケーションも増やした。「チームの要になる」と決意し、帽子のつばに「捕手でチームは変わる」と書いて、2年連続の甲子園出場を目指す今大会に臨んだ。
この日は4投手をリード。得点圏に走者を背負う回も多くあったが、巧みなリードで中盤は相手に得点を許さなかった。「初戦で投手も緊張していた中で、内外角をうまく使えた」
唯一の後悔は、九回の本塁打だ。ストライク先行の場面で勝負を急いでしまった。「自分の配球ミス。1球外すべきだった」と悔しさをにじませた。
だが、その裏の攻撃でベンチから大きな声を出せたことは「成長の証し」と胸を張った。試合には敗れたが、最後までチームの要としての姿を見せた。(井上昇)
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