「潤がいなければ始まらない」。熊本県の私立文徳高校の内野手、北野潤さん(3年)は、仲間たちからそう頼られる。試合開始前の円陣でチームを鼓舞する「声出し」を担当する。

 チームの中では声が高くてよく通る。北野さんが声出しをすると「気が引き締まる」と仲間たちに推された。

 プレーボールの整列の少し前、ベンチ前で組まれる円陣の中心に立つ。チームお決まりの掛け声「スイッチ・オン」を皆で連呼する前に、短い話をする。

 その日の天気に触れたり、対戦相手の特徴を確認したり。

 少しの変化も見逃さない。チームに緊張が感じられた場合は、前日から考えて仕込んでおいた、森田崇智監督や山中和久部長のものまねを披露したり、仲間のうちの誰かをいじったりして笑いを誘う。

 主将の林田歩弓夢さん(3年)は「チームにとって欠かせない存在。毎回かける言葉が違い、チームのことを思ってくれているなと感じます」と頼りにする。

 北野さんは「夏の大会は、特に3年生にとっては集大成。緊張すると思うけど、今まで自分たちがやってきたことを引き出すような声出しをしたい」と試合に臨む。(吉田啓)

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