(5日、第106回全国高校野球選手権福岡大会2回戦 小郡20―1久留米筑水)

 久留米筑水のベンチで、マネジャーの山口心愛さん(3年)はスコアシートをつけていた。チーム名の欄には「久留米筑水」。それだけで誇らしかった。

 「野球が好きだから」と入部。だが昨夏、新チームになって残ったのは佐々木俊可主将(同)と山口さんの2人だけ。一時は他校との連合チームで試合に出ることもあった。不安な気持ちにもなったが、佐々木主将1人にノックをする監督に球を渡すなど、練習を支えた。佐々木主将は「元気はつらつに、ずっと声をかけてくれて支えになった」と感謝する。

 「やっぱり単独で出場したい」。新年度になって入部勧誘の動画を作り、新入生に声をかけて部員を募った。

 そして迎えた夏。1年生部員5人と野球経験者など部外の助っ人を含む計10人が揃った。単独チームで大会に臨んだ。

 最初の試合で、夏は終わった。「負けちゃったけど、楽しかった」。目を赤くして、赤と黒のボールペンをしまった。(西岡矩毅)

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