7月6日に開幕する第106回全国高校野球選手権滋賀大会に、安曇川、湖南農、信楽、甲南、愛知、長浜農が部員不足のため、連合チーム(18人)を組んで出場する。6校連合は滋賀県では過去最多。

 しかも、湖西の安曇川、湖東の長浜農、湖南の信楽などと、広範囲にわたる連合チームだ。選手たちは、土日に仲間と顔を合わせることを見据え、平日は各校で練習に汗を流す――。

 6月中旬、湖南農(草津市)のグラウンド。山中裕人選手(3年)がキャッチボールを始めた。相手は練習を手伝いに来てくれている、クラスメートの与古田(よこた)悠希さんだ。

 入部したときから部員が少なかった。やめたいと思ったことは何度もあるし、練習に顔を出さなくなった時期もあった。

 昨春から、1年ぶりに連合チームを組んで公式戦に出るようになった。夏の滋賀大会が終わって3年生が抜けると、選手は1人だけになった。平木隼也監督(27)らが練習の相手になった。

 1人のときは、ネットに向かってボールを投げたり、サッカー部の練習に混じったり――。やめたいという思いは消えなかったが、平木監督や親の励ましを受けながらなんとか続けてきた。

 今春には1年生1人が入部した。野球経験のある与古田さんも練習に来てくれるようになった。山中選手に接してきた平木監督、与古田さん、マネジャーの中村紅杏(こうあ)さん(3年)、みんなが「1人になってもやめずに取り組んできてすごい」と口をそろえる。

 連合チームでは遊撃手で4番。マウンドにも上がる、まさしく攻守の要だ。土日の練習は「皆勤賞」だという。滋賀大会の目標を聞くと、「ヒットを打って、5回を2失点ぐらいに抑えたい」。そう言ってはにかんだ。

少人数ならではのよさも

 愛知(愛荘町)の選手は5人。新幹線がそばを通るグラウンドで、土日に出た課題を踏まえて平日の練習を重ねている。

 少人数ならではの良さがある。1人あたりの練習量だ。「1日500球近く打てる」と加藤史典監督(33)は話す。

 いまの3年生は、1年生のときから連合チームを組む。公式戦での勝ちはない。加藤監督は「単独チームが一番だが、連合チームじゃないと経験できないこともある」。

 捕手の村井昊明(こうめい)選手(3年)は、連合チームの主将を務める。安曇川がそれまでの5校連合に加わり、本格的に始動したのは今年5月。徐々に練習試合で勝てるようになり、「もっと勝ちたいという気持ちがある」。

 他校の仲間とは頻繁に連絡は取っていないが仲は良い。いろんな友だちができるところが連合チームならではだといい、「これからもずっと自慢できる」と胸を張る。

 ただ、いまは土日にみんなでプレーできる喜びより、「勝ち」を意識している。「自分がどれだけチームを引っ張れるか。夏の大会でできるだけ長く続けたい」。主将の自覚を持ち、公式戦初勝利をめざす。

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