野球部員が3人の鹿児島県立鹿児島高等特別支援学校は、今年も連合チームで全国高校野球選手権鹿児島大会に出場する。8回目の出場で初勝利をめざす。
鹿児島市東坂元3丁目の同校グラウンド。林連太郎選手(3年)が久留須祐大監督(25)のノックを受けていた。久留須監督は「ボールの正面に入って」と指示、捕球のたびに「今の入り方、完璧」「跳ばずに足を動かして横に動いて」などとアドバイスした。林選手は「はい」と返事しながら丁寧に捕球動作を繰り返した。
林選手は小6で野球を始め、中学校でも続けた。特別支援教育コースがある私立高校への進学を考えていたが、野球部があると知って高等特別支援学校に進んだ。「野球を続けたかったし、大会に出たかったから」と話す。
部員数が足りない学校にも大会参加の道を開く連合チームの制度ができたのは、少子化がきっかけだ。日本高校野球連盟は1997年、統廃合の過程で部員不足になった高校同士が連合チームで大会に参加することを容認。2012年には、統廃合に関係なく部員不足による連合チームも認めた。
特別支援学校で初、硬式で高野連に加盟
軽い知的障害がある生徒を対象にした鹿児島高等特別支援学校は12年に開校した。体育系では陸上競技やサッカー、卓球など七つの部活動がある。14年にできた野球部はその年の夏、特別支援学校では全国で初めて硬式野球の部で県高野連に加盟した。連合チームを組んで16年、鹿児島大会に初出場した。
21年以降は志學館、鹿児島修学館と3校で連合を組み、今年は開陽を加えた4校連合で出場する。平日は各学校で練習し、日曜は合同練習や他校との練習試合を行う。
連合チームを指揮するのは、志學館の小園有実監督(34)。「指示の伝え方を工夫し、また一度に複数の指示をしないようにしている。それ以外は、ほかの生徒への接し方と変わりません」と話す。チームメートの鹿児島修学館の鶴崎知隆選手(3年)は、高等特別支援学校の生徒を特別視する考えはないという。「特別支援の選手がミスした場合もカバーするけど、それは野球がエラーや悪送球があったときにカバーし合うスポーツだから」と説明する。
鹿児島県内の高校は94年度に公立・私立あわせて104校あったが、今年度は90校。7月6日に開幕する鹿児島大会には74校、63チームが出場する。連合チームでの参加は「志學館・開陽・鹿児島修学館・特別支援」のほか、「加世田常潤・串木野・薩摩中央・鶴翔」「大口・鹿児島第一・蒲生・霧島・串良商」「奄美・古仁屋」がある。(宮田富士男)
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