陸上 日本選手権(30日、新潟・デンカビッグスワンスタジアム)
男子110メートル障害 村竹ラシッド=優勝(13秒07)
中盤以降に前に出ると、最後のハードルを跳び越える頃には圧勝していた。村竹ラシッドの顔に必要以上の喜びはない。パリ・オリンピック出場を決めても「ここからがスタートなので」とこともなげに言ってのけた。
トーゴ出身の父を持ち、千葉・松戸国際高時代に2019年全国高校総体を制した逸材。成長軌道を描く過程で、男子400メートル障害で1995年世界選手権7位の山崎一彦氏(日本陸連強化委員長)が指導する順大に進学したことは幸運だった。そんな山崎氏も、村竹の走りは衝撃的だったという。
ガーナ出身の父を持つ男子短距離のサニブラウン・ハキーム(東レ)のように骨盤が前傾するため股関節の可動域が広く、自然と前に進みやすいとされる。山崎氏は「スタートから(1台目の)ハードルにかけて体を前傾させる動きが理想的だが、『こんな動きができるの?』と教えられている」と舌を巻く。
同じ順大出身で、一足先にパリ五輪代表に決まった泉谷駿介(住友電工)の存在も慢心を許さない。泉谷と同じ自己ベストの13秒04はパリ五輪でも上位が見込めるタイム。だから、たどり着いた大舞台も、スタートに過ぎない。【岩壁峻】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。