(30日、第106回全国高校野球選手権北北海道大会旭川地区Cブロック代表決定戦 富良野緑峰・上富良野1―12旭川東)

 大会最後に投じた1球は、入学時から磨きあげてきたカーブだった。

 コールド負けがちらつき始めた四回裏1死二、三塁。富良野緑峰、荒木佑斗投手(3年)が外角を狙った球は高めにはずれ四球に。満塁とし、マウンドを譲った。「抑えようという気持ちが前に出すぎて」。球を離すタイミングがはやく、浮いてしまった。

 制球力が持ち味で、3年前から縦に曲がるカーブを覚えた。毎日続けた朝練で下半身を鍛え、20キロほど速くなった直球との緩急が生きた。一回は3者凡退と有効だったが、相手中軸に対応され、失点が重なった。一度、遊撃手につき、再登板したが、勢いを断てなかった。

 富良野緑峰は来春、富良野と合併する。新校名はまだ決まっていないが、「最後の大会で1勝」を目標に、主将としてチームを鼓舞してきた。

 ところが昨秋、上富良野との3校連合を組んでいた旭川高専が今年は単独出場できることになり、部員不足のピンチに。他部の同級生らに声をかけ、何とか2校での出場にこぎつけた。

 初戦は全校応援を背に6回無失点の好投で、入学以来初の勝利をつかんだ。

 地区代表をめざして臨んだ旭川東戦は、制球も球威も本調子ではなかった。強豪相手に「全球、力を入れて投げた」という影響もあった。

 「よくがんばったよ」。試合後、3年間バッテリーを組んだ荒涼之介捕手(3年)が声をかけてくれた。「最後の勝利」をもたらした主将に、悔いはない。(丸石伸一)

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