(29日、第106回全国高校野球選手権南北海道大会札幌地区Eブロック2回戦 北海道科学大1―6札幌龍谷)

 七回裏、相手に2点を追加されると北海道科学大のマネジャー、清野珠那さん(3年)の目から涙があふれた。

 「このメンバーとやれるのもこれで最後か」

 幼い頃から野球が大好きだった。父親の草野球や弟の練習や試合についていくのが週末の楽しみだった。妹の藍那さん(1年)も同じだった。

 珠那さんは、高校入学とともにマネジャーになった。でも入部して1カ月、なんでも自分たちでこなす選手を前に、自分の役目がわからなくなった。グラウンドで必死に汗を流す選手を見て、退部を踏みとどまった。

 3年になると、同じく医療の道をめざす藍那さんが入学してきた。

 「一緒にやろう」

 姉妹で野球にのめり込む日々が始まった。練習の時間管理から球渡し、スコアの記入法など珠那さんが2年間で学んだ仕事を妹に引き継いだ。

 いつも近くで見ていたから、体調不良やけがを隠してプレーする選手たちにも気付けるようになった。アイシングなどでそっと選手を支えた。

 将来の夢は助産師だ。「ちょっとした異変に気付ける力は将来の仕事にも生きるはず」

 南北海道大会出場をめざした姉妹の目標はかなわなかった。姉が果たせなかった思いは、「姉のように頼られる人になりたい」と言う、妹が受け継いでくれる。(鈴木優香)

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