特集はラグビーです。日本代表の活躍で近年、人気が高まっていますが、長野県内ではせっかく始めても部活やクラブが少なく、中学生になるとやめてしまうことが多く課題となっていました。そうした中、この春、中信地域で、中学生が競技を続けられる「受け皿」ができ、注目されています。


力強いプレーを見せる選手たち。

菅平高原でラグビー日本代表候補の合宿が始まりました。(5月20~29日)


熱気なら子どもたちも負けていません。こちらは、この春発足した「シャルマン ラグビー アカデミー」のメンバーたち。12人中4人は中学生です。

シャルマンラグビーアカデミー・輪湖泰輔コーチ:
「(クラブ発足の)一番の狙いは、中学生になってもラグビーを続けてほしいというところ。ゆくゆくの目標は(試合に出場できる)チームをつくれるといいなと思っています」

中学生の受け皿として関係者が立ち上げた新たなクラブ。「長年の課題」解消に向けた第一歩です。


5/19、松本市波田。

練習に励む「上高地ラグビースクール」と「松本ラグビースクール」の子どもたち。少子化の影響で10年以上前から合同で週1回、日曜日に練習しています。

メンバーは合わせて30人ほど。2019年のワールドカップ日本大会以降、ラグビー人気の高まりで、メンバーは増加傾向です。


小学5年:
「試合が楽しい、トライとった時」
「(楽しいのは)タックルが入った瞬間とか、トライを決めたときです」
「相手を抜かしてトライをするところが楽しいです」


輪湖泰輔コーチ(42)は、上高地ラグビースクールOB。小学校の教諭をしながら、ボランティアで指導しています。

上高地ラグビースクール・輪湖泰輔コーチ:
「ラグビーが好きになってもらいたいと願って始めたチームなので和気あいあい。仲間づくりも大事にしてほしい」


この日は中学生6人も参加しました。

実は、これまで大半の子は小学校卒業でラグビーをやめてしまうことが多く、長年の課題となっていました。

輪湖泰輔コーチ:
「一番は受け皿がない。気持ちとしては中学でも続けたいんだけど、そういった環境がないために他の競技をやって、ラグビーから離れてしまう」


そもそも競技人口が少なく、県内の中学校で「ラグビー部」があるのは私立の松本国際中学校のみ。

比較的、盛んな南信には中学生のクラブチームがありますが、他の地域では、クラブに所属し続けても人数が少なく、試合の機会はほとんどないのが実情です。


中学1年の斉藤隆仁さんも小学校卒業が近づくにつれ不安を抱いていた一人です。

中学1年・斉藤隆仁さん:
「今までやってた友達がやめると人数減るし、コミュニケーションも薄れていっちゃうのかなと心配だったです」

斉藤さんがラグビーと出会ったのは小学1年の時。以来、「ワンチーム」になって戦うことに魅力を感じ長く続けたいと考えていました。


5/15―。

「ただいまー」

中学校から帰宅した斉藤さん。

部屋を見せてもらうとー。

中学1年・斉藤隆仁さん:
「松田力也選手です。キック力と、司令塔というかっこいいポジション」

憧れは日本代表の松田力也選手。4月は家族でリーグ戦の応援にも行きました。


中学1年・斉藤隆仁さん:
「(自分も)日本代表みたいなプレーをして活躍したいと思います」

父・陽介さんはー

父・陽介さん:
「体はまだ細いですけどメンタル的に成長しているなと」

中学校でバスケ部に入ったのは「ラグビーにいかせそうだから」。あくまで「ラグビー」が主軸です。


実は斉藤さんのようにラグビーが好きな子は他にもいました。

そこでー。

上高地ラグビースクール・輪湖泰輔コーチ:
「子どもたちの熱量に負けないように、こちらも熱量を持って支援していければと」

輪湖さんたち松本や安曇野のクラブ関係者が中学生になっても続けられる「受け皿」を立ち上げたのです。


練習は水曜日。斉藤さんは早めに宿題に取り掛かりました。

中学1年・斉藤隆仁さん:
「基本的に日曜日だったので週1回しかない、週に2回確実にやるっていうのはうれしかったです」


父の送迎で練習へー

輪湖泰輔コーチ:
「皆さん挨拶からはじめましょう、こんばんはー」


山形村のグラウンドで始まった「シャルマン ラグビー アカデミー」の練習。

輪湖さんなど中信地域のコーチや経験のある保護者が指導にあたります。


メンバーは中信地域のクラブに所属する小学5年生から中学生までおよそ10人。所属クラブの練習と合わせ週2回、汗を流します。

中学1年:
「やる機会が増えてうれしいですし、スキルアップにもつながるからいいなと思いました」

中学3年:
「(中学生の)人数が増えたから、いい感じにできればいいかなと思います」


輪湖泰輔コーチ:
「ボールどこからでる?」

生徒:
「ハーフ」

輪湖泰輔コーチ:
「ハーフから出るよね、次は何を見る?」

生徒:
「味方」

輪湖泰輔コーチ:
「味方見てますか?」


今後はメンバーを増やして大会出場も狙います。

この日は、実戦形式の練習も。

三郷ラグビースクール・草場康寛コーチ:
「中学生の大会・試合までいって、あわよくば高校生にあげて、有名になる選手が出れば」


「シャルマン」での練習は小学生メンバーの刺激にもなっています。

小学5年:
「パワーが全然違うんですけど、仲良くなれる」
「いろんなチームから来てるので、コミュニケーションが取れるのでいいと思います」
「中学生まではやりたいです」

「シャルマン」は「魅力的な様子」を意味するフランス語。ラグビーを通じて人間的な成長も促します。

シャルマンラグビーアカデミー・輪湖泰輔コーチ:
「自分たちのチームの良かったところ、直した方がいいプレー、その2つを聞くから」

中学3年:
「相手がいないところにいって、ゴールにつながっていったところがいい」

シャルマンラグビーアカデミー・輪湖泰輔コーチ:
「コーチから一方的に言うのではなく、子どもたちがどう考えているか私も知りたいので、そういう場面はつくろうと思っています」


「シャルマン」によって練習量が増え、試合出場の可能性も。斉藤さんたちのモチベーションも上がっています。

中学1年・斉藤隆仁さん:
「楽しく明るく、他のチームも関係なくやっていきたいです。指示を出せるようなスタンドオフになりたいです」

メンバー:
「シャルマン・ラグビーアカデミー、みんな、ラグビーやろうぜ!」
「おー!」

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。