パリ五輪に向けた壮行会で、仲間のプロサーファーに囲まれる稲葉玲王選手(中央)=千葉県一宮町で2024年6月23日午後2時58分、高橋秀郎撮影

 パリ・オリンピックの開幕を前に、千葉県一宮町出身のサーフィン日本代表、稲葉玲王(れお)選手(27)の壮行会が23日、同町で開かれ、地元の支援者やプロサーファー仲間ら約200人が激励した。稲葉選手は「大きなチャンスをつかむことができた。金メダルを持ち帰り、結果で皆さんに恩返ししたい」と誓った。

 同町の釣ケ崎海岸は、東京五輪でオリンピック初のサーフィン競技が行われ、地元出身で稲葉選手と同級生の大原洋人さんが5位になった。パリ五輪の競技会場は南太平洋、フランス領ポリネシアのタヒチ。世界有数の危険で巨大な波で知られ、筒状の波をくぐり抜ける大技「チューブライディング」がポイントになりそうだ。

 壮行会では、「GO(ゴー) REO(レオ)」とプリントされたTシャツ姿の人で埋め尽くされた。馬淵昌也町長は「人口1万2000人しかいない町から、同級生2人が続けて五輪に出場するのは素晴らしい」とたたえ、先輩プロサーファーの田中英義さんは「五輪のプレッシャーはあっても、稲葉玲王らしさを貫き、悔いなく楽しんできてほしい」と花束を贈った。

パリ五輪に向けた壮行会で、メダル獲得の決意を語る稲葉玲王選手。左は持参するヘルメット=千葉県一宮町で2024年6月23日午後3時8分、高橋秀郎撮影

 多くの小中学生も駆けつけ、稲葉選手に質問した。「最も良かったチューブは?」に対しては「まだない。このタヒチで決めたい」、「チューブに入った時の気持ちは」には「言葉では表せない。生きていて一番気持ちいい瞬間」と答えた。稲葉選手は「夢や目標を持って頑張っていれば、大きなチャンスは平等に来る。諦めないで」と呼びかけた。

 稲葉選手は、昨年がんのため51歳で亡くなった先輩で鴨川市のプロサーファー、小川直久さんのヘルメットを模したものを持参すると報告。「日本人が世界の大会に出場できるようレールを敷いてくれた一人。遺志を継いで、力をもらえたら」と言葉を詰まらせる場面もあった。現地では「自分がその波に乗れるか乗れないかが一番。1本の波でひっくり返せる。演技に集中したい」と力を込めた。

 また、父康宗さん(58)は「たくさんの応援をいただいている。何とかメダルを獲得してほしい」と話した。

サーフィン初心者向けのイベント開催へ

 県は7月中旬~9月下旬、外房地域の沿岸部でサーフィン初心者向けのイベント「BOSOサーフィンミーティング2024」を開く。サーフィン体験会や地元食材を使った昼食、移住サーファーとの交流会などで、県の魅力を発信する。↵

 イベントは、昨年に続いて2回目。一宮町、鴨川市、旭市、九十九里町、南房総市などで計12回開催する。↵

 各日の定員は20人(先着順)。料金は1人5000円。参加者は特設サイト(https://bososurfing.jp/)で受け付ける。【高橋秀郎】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。