(15日、プロ野球 福岡ソフトバンクホークス6―2阪神タイガース)
夢心地でダイヤモンドを一周したのだろう。ソフトバンクの笹川吉康は気持ちを問われ、「ほとんど記憶にないんです」。初々しいコメントにプロ初本塁打の喜びが詰まっていた。
五回無死。2ボール1ストライクからの4球目だった。「有利なカウント。思い切って自分のスイングをした」。真ん中高めの直球を振り抜いた打球は右翼席へ。小久保監督が「あの一発は大きかった」とたたえた1号ソロで阪神を突き放した。
横浜商高から2020年秋のドラフト2位で入団。193センチ、95キロの体格を生かした長打力が持ち味だ。「柳田2世」と期待されるが、課題は「確実性」。2軍ではコンタクト率を上げることを目指してきた。
柳田がけがで長期離脱したこともあり、11日に1軍初昇格。プロ初スタメンとなった14日の阪神戦でプロ初安打となる中前安打を放った。
「とにかく打ち続けること。何とか1軍に食らいついていきたい」。「吉康」という名前は豊臣秀吉と徳川家康に由来する。いつか天下を取る。22歳はそんな雰囲気を漂わせる。(鷹見正之)
小久保監督(ソ) 笹川について、「(右翼席に)あれだけの特大本塁打を打てる能力、あそこまで飛ばせる能力があるのは魅力ですよね」。
東浜(ソ) 6回1失点で3勝目。笹川については「一瞬、柳田さんが打ったんじゃないのと思うくらいすごい打球だった。また、すごくいい選手が出てきたと思いました」。
ソフトバンクの近藤が技ありの一振りで先取点をもたらした。一回2死二、三塁、真ん中やや内寄りに来た150キロのツーシームを捉えた。「自分のスイングができた」と、左中間テラス席へ描いた11試合ぶりの放物線を振り返った。
12日のヤクルト戦で、守備中に右手をねんざした。投げることは難しいが、「スイング自体に問題はない」と患部をテーピングで固めて出場を続ける。「とにかくチャンスを生かすことができてよかった」と笑みがこぼれた。
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