阪神の前川右京選手=東京ドームで2024年3月29日、渡部直樹撮影

〇阪神―楽天(5日・甲子園)●

 昨季日本一の中軸3人が1軍にいない窮状の阪神に明るい材料があった。2番に座ったプロ3年目の21歳・前川右京の活躍だ。持ち味の思い切りの良い強いスイングで先制の適時二塁打を放つなど存在感を見せた。

 三回、2死から中野拓夢が右前打で出塁し、続く前川の打席だった。フルカウントから甘い直球を右中間にはじき返し、先取点を得た。「ゾーンに来た球は思い切ってスイングしていこうと思っていました。強くスイングすることができました」と強みを発揮した。五回にチームが2点目を挙げた際には四球を選んでチャンスメークした。

 昨季、全試合4番で先発出場した大山悠輔が打率1割9分9厘と極度の不振で試合前に1軍登録を抹消され、ノイジーや佐藤輝明も不在の状況だ。チームが全体的に打撃不調で前日も1点しか取れずに敗れ、試合後に岡田彰布監督は、かすれた声で「毎試合のことやからもうええよ」と頭が痛い様子だった。そんな阪神の窮地を将来、中軸が期待される前川が救った。【荻野公一】

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