政治資金規正法の改正をめぐり、与野党はいったん合意していた4日の委員会での採決を見送り、自民党が3度目の修正案を提示しました。

■4日の委員会での採決を見送る異例の事態に

自民党が4日、午前9時過ぎに理事会に示した修正案は、政策活動費の公開範囲をめぐって50万円を超える支出に限定する条文を削除するなど、日本維新の会の要求を飲む形となりました。

【自民党 大野敬太郎衆院議員】「国民の声というのをしっかり受けて修正していく。しっかりとそこは成し遂げたい」

【日本維新の会 遠藤 敬国対委員長】「自民にとっても50万残して、49万9999円はOKとなれば必ず指摘される。抜け穴になるとそしりを受けても仕方ないじゃないですかと(言った)」

維新の土壇場の反発で自民党が再修正に応じ、採決が見送られるという異例の事態に立憲民主党の安住国対委員長は苦言を呈しました。

【立憲民主党 安住 淳国対委員長】「細部を詰めないままに合意したからこんなことになったんだと思う。はっきりいってザルの合意。この先も油断はできない」

自民党は立憲民主党の幹部と会談し、5日、岸田首相が特別委員会に出席して修正案への質疑を行い、委員会で採決することを確認しました。

■再々修正…国民の不信感を払拭する改革案となるのか

自民党の修正案ですが、まずパーティー券について。購入者の公開基準は、現在は20万円超ですが、改正案では5万円超えに変わります。これは公明党に配慮した形です。

次に政策活動費。使途の公開基準は、現在は公開の義務なしとなっていますが、改正案では、10年後に公開。ただし、50万円超の支出に限定するというものでした。

自民党は4日、この修正案で委員会での採決を行う予定でしたが、これに対し、全面公開を求める日本維新の会が反発しました。

その結果、自民党は4日「50万円超の支出に限定する」という条文を削除し、維新の要求を飲んだという形になりました。

5日に委員会の採決、衆院通過は6日になる見通しです。

つまり自民党は公明党にも日本維新の会にも譲歩した形ですが、委員会の採決はもともと4日に予定されていたのですね。

【関西テレビ 神崎 博報道デスク】「もともとの自民党の案があったのですが、公明党と維新の会の案を汲んで修正を重ねてきた。自民党の岸田総裁と維新の会の馬場代表、党首2人の間で合意をしていましたが、細部があまり詰められておらず、維新の党内であったり、他の野党から『抜け道があるのでは』と批判を受けたので、かなり異例ですが、維新側が『やはり再度修正してもらい、この抜け道(50万円超の条文)を削除しなければ、賛成できない』と、再々修正を求めた。それを自民党が飲んで、今回、本当は4日に委員会を開く予定でしたが、5日に開くことになったんですね」

大詰めの段階でまた修正というこのドタバタ…。政治とカネの問題に区切りをつけるべく、再発防止策を出しているわけですが、十分といえるのでしょうか。

【京都産業大学 理事長・法学部 山田啓二教授】「普通、個人に行くのであれば政治資金管理団体に行けばいいんですよ。そうするときちんと全部が公開されて、透明化されている。結局、政治資金の場合は非課税になるわけです。ということは、民間でもわれわれでも、全部証明をしないと、非課税にしてもらえないわけですよ。証明しなくても非課税になるという制度が政治家だけに許されるというのは、普通の人からすればね。サラリーマンはほとんど経費を認められていない。中小企業の人たちは、経費のために領収書を徹底的にプールしてやっと認めてもらえる。それでも税務署にはかなり厳しく査定をされる」
「政治家だけは、『何に使おうがOK』というのは、不公平感が強すぎますよね。そうしたところをどれだけ払拭できるのか、『10年後の公開』というのが見ものですが、10年後だと責任追及ができるのかな?という感じがしますね」

果たして、国民の不信感を払拭するような改革案となるのでしょうか。

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