この1週間は、北朝鮮の軍事偵察衛星の発射をめぐり緊張感が高まった。

アメリカ軍の動きを中心に解説する。

真っ黒な片方の主翼を持ち、弾道ミサイルやロケットの探知・追跡に特化したアメリカ軍の偵察機「コブラボール」が5月27日夜、沖縄県の嘉手納基地から飛び立った。

その約3時間後、北朝鮮は軍事偵察衛星「万里鏡1-1号」を新型ロケットに搭載して打ち上げたものの、空中爆発し、早々に発射失敗を発表した。

このときのコブラボールの動向について、アメリカの国営メディアは、北朝鮮の偵察衛星の打ち上げ直前、第1段の着水域で待機していたことを明らかにした。

フジテレビ・能勢伸之上席解説委員「本来行動を秘匿すべき『コブラボール』の動向を、アメリカ政府に所属する機関が明かすことはめったにない。その行動があらわになっていたのなら、『コブラボール』は民間機のように“あえて”飛行中に電波を出すことで北朝鮮に自分の位置をさらけ出し、発射をけん制していたのだろう」

それにも関わらず、北朝鮮は発射を強行しロケットが爆発。

北朝鮮メディアは「新たに開発した液体酸素と石油系燃料のエンジンの信頼性」が事故の原因と発表した。

フジテレビ・能勢伸之上席解説委員「液体酸素は-183度以下で取り扱わなければならず、気化すると体積は800倍に膨れるとされており、液体酸素がきちんとコントロールできなければ、ロケットの中で爆発的に膨れあがりかねない。2023年9月の金正恩総書記とプーチン大統領の合意により、北朝鮮のロケットエンジンの燃焼試験をロシアの多数の技術者が支援したとの報道もあります。北朝鮮が、ロシアの関与が打ち上げ失敗につながったとみなすのか、今後の両者の関係性が注目される」

そして北朝鮮は、打ち上げ失敗の翌日の夜から、韓国に向かって汚物などをぶら下げた風船を飛ばした。

韓国軍はこの風船について、爆発物処理班を派遣して徹底的に調査したうえで、「生物・化学・放射性物質はなかった」と発表。

フジテレビ・能勢伸之上席解説委員「北朝鮮は衛星の打ち上げの失敗で侮られたくなかったのか、なぜ韓国軍が調査したかというと、大量破壊兵器の運搬手段になりうるかどうか、その可能性を徹底的に調べたとみられる」

さらに北朝鮮は、将来、核ミサイルにする意向を示している超大型放射砲「KN-25」を18発、日本海に向けて一斉射撃した。

こうした中、アメリカ軍は偵察機「コブラボール」をもう1機、日本に派遣し、世界で3機しかないコブラボールのうち、2機が日本に展開した。

アメリカは次に何を警戒しているのか。

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