「最高裁が最後の希望です。全ての被害者が救われるような判決を出してください」。障害者らに不妊手術を強いてきた旧優生保護法(1948~96年)をめぐり、29日に最高裁で開かれた上告審の弁論。宮城県からは16歳で手術を受けた飯塚淳子さん(70代、活動名)が出廷し、戸倉三郎長官以下、15人の最高裁判事全員が並ぶ大法廷で長年にわたる被害を自らの声で訴えた。
この日は各地の被害者らが提訴した訴訟のうち5件の上告審について、各地の原告が意見陳述した。
裁判の最大の焦点は不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」の適用が制限されるかどうかだ。5件の高裁判決のうち、原告勝訴は4件。一方、飯塚さんと佐藤由美さん(60代、仮名)が原告の仙台高裁判決(23年6月)だけが除斥を理由に敗訴している。
飯塚さんは意見陳述で、「長い間たった一人で声を上げ続けました。被害を闇に葬られてはならないと思い、歯を食いしばって訴え続けました」と、しっかりとした口調で発言した。
全国弁護団共同代表の新里宏二弁護士は弁論で「誰よりも早く声を上げた2人が除斥期間を理由に(請求が)認められないことがあってはならない」と強調。除斥を画一的に主張する国の姿勢を念頭に「真に正義と公平にかなう判断を求める」と訴えた。
閉廷後の報告集会で飯塚さんは「(裁判官に)思いが伝わってほしい。みんなのためにも良い判決が出ればいい」と望んだ。【遠藤大志】
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