兵庫県知事のパワハラなどの疑惑について、現役の県幹部職員が関西テレビのインタビューに応じ、内部の実態を語りました。

■ポスターに顔写真がないことで激怒 「自分が目立ちたいだけ」と現役幹部

【兵庫県の現役幹部職員】「自分の意見を言う職員が、そんなことは全く聞き入れてもらえなくて、(知事は)『全部言うとおりにしろ』みたいな。『こうしたい』という意見が言えない組織になってしまっているというのが、すごい問題だと思っています」

兵庫県の斎藤元彦知事への憤りを語ったのは現役の、県の幹部職員です。

ことの始まりは、ことし3月、当時、西播磨県民局長だった男性職員(60)が「斎藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」というタイトルの告発文を一部の報道機関などに配ったことでした。

県は、内部調査の結果、告発文は”事実無根”として、男性職員を停職3カ月の懲戒処分としました。

この決定に対し、県議らが「調査は客観性に欠ける」などとして再調査をするよう申し入れ、斎藤知事は21日、第三者委員会による再調査を実施すると明言しました。

”事実無根”とされた告発文のなかには…「知事のパワハラは職員の限界を超えている」という記述も。

この疑惑に関連して、一部の県議が独自のアンケート調査を実施。

職員300人中、21人が回答したアンケートには、物価高騰対策として打ち出したプレミアム付きデジタル商品券「はばタンPay+」についての回答がありました。

知事が、チラシに自分の写真がないことで怒り、職員を呼び出したなどと書かれているのです。

「はばタンPay+の時にチラシを作ったが、写真がないことに激怒しました」

この回答について幹部職員は…。
【兵庫県の現役幹部職員】「(はばタンPay+の)ポスター・うちわに知事の顔写真がないってことを、知事が気に入らなくて、その時に説明をしていた人間は、『お前では話にならないから帰れ、上司を呼べ』と言われ、顔写真が入ったと聞いています」

【記者リポート】「第1弾のポスターには顔写真が載せられていませんが、第2弾、第3弾には斎藤知事の顔写真が載せられていることが分かります」

ちらしには、”主役”「はばタン」に匹敵するサイズで掲載された、知事の写真があります。

【兵庫県の現役幹部職員】「県として施策、事業をやることは二の次で、自分が目立ちたいだけと思えてしまいます。写真があるかないかは関係ないと思うんです、県の事業をやる中においては」


■授乳室が知事専用個室に 「女性が利用できなかった事実」認めるも「知事の教養ではない」と強調

アンケートにある、他の回答についても取材しました。

ことし3月、「尼崎の森中央緑地」で知事が出席したイベントでのことです。

【記者リポート】「アンケートにはこちらの授乳室が当日、知事の意向で専用の個室になっていたという告発が書かれていました」

事実関係を県に問い合わせると、「『授乳室・救護室』を知事が個室として利用し、女性が利用できなかった事実があった」と認めました。

一方で、「担当職員の間で個室を確保しようという話にまとまった。知事に強要されたわけではない」と強調しました。

■会見で 斎藤知事「詳細は個別に回答しない、仮定の話は答えられない」

22日の会見で、斎藤知事はそれぞれの疑惑について答えました。

【兵庫県 斎藤元彦知事】「丸山議員のアンケートは詳細を見ていなくて、個別の回答は、現時点では控えた方がいいと思っていますが、『はばタンPay+』については、産業労働部がしっかり議論をして、『知事の写真を使うことになった』と、そういう提案をしていただいたと」

授乳室の個室利用については。

【兵庫県 斎藤元彦知事】「詳細は個別に答えることは控えたいが、担当部局が着替えるスペースを用意してくれた。その部屋が授乳室だったとは認識していなくて、結果的に県民の皆さんにご迷惑、ご不便をおかけしたのはおわび申し上げたい」

(Q.知事が否定してきた事実が認定されれば、政治的責任を取る考えは?)
【兵庫県 斎藤元彦知事】「これから第三者委員会を開催して、外部の有識者の観点から調査をしていくことになりますので、そこでまずしっかり調査をしていただくことが大事。今の時点では仮定の話には答えられない」

疑惑は、払しょくされるのでしょうか。

取材を受けた幹部職員は、県民のために組織風土が変わってほしいと訴えます。

【兵庫県の現役幹部職員】「本当に県民のために仕事をしているのか?とすごく感じます。色んな意見を交わす、意見を言い合える職場であってほしい。特定の人だけで物事を決めて動いていく県政はどうなのかなと思うので、そういう(意見を言い合える)県政になってほしいなと思います」


■「第三者機関の設置と、1対1でのコミュニケーションが大切」

斎藤知事は釈明していますが、「newsランナー」の番組コメンテーターでジャーナリストの鈴木哲夫さんはこのように考えます。

【鈴木哲夫さん】「ひとつは最初の対応です。この問題が出てきた時に、最初に第三者機関を作って、そこで客観的にチェックするべきでした。全国の自治体でも、色んな首長のパワハラやセクハラとか、色んなことが起きています。役所には、コンプライアンスというか、普通の企業ならある、ちゃんとやるという空気がないんですよ。選ばれたトップは有権者に選ばれた人だから、あんまり文句も言えないとか、ちょっと閉鎖的な感じがあります。だからそういう第三者委員会みたいな組織を作るっていうことが1つです。あともう1つ、知事に言いたいのは、コミュニケーションです。こういうことが起きたのだったら、そう言っている職員としっかりコミュニケーションをとるとか、できるはずです。間に何人も局長や部長などを置いて考えるのではなく、1対1で職員と話すコミュニケーションも発揮してもいいのかなと思います」

【関西テレビ 加藤さゆり報道デスク】「いろいろ問題を指摘されていますが、私がこれまでに取材をさせてもらった神戸市内の例えば特定妊婦さんを支援されている方にうかがうと、『斎藤知事に変わってから制度づくりが進んだ』とよろこびの声も当初、聞かれていました。だから、たくさんの功績があるのに、こういったことで台無しにならないようにしていただきたいと思います」

果たして実際はどうだったんでしょうか。独立性が担保された形での第三者機関での調査が待たれます。

(関西テレビ「newsランナー」2024年5月22日放送)

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