自民党本部=東京都千代田区で、平田明浩撮影

 自民党は17日、派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた政治資金規正法改正案を単独で衆院に提出した。岸田文雄首相(自民党総裁)は今国会中の成立を目指しており、22日にも衆院政治改革特別委員会で審議が始まる。

 自民は公明党と与党案のとりまとめに向けて協議を重ねたが、パーティー券購入者の公開基準額などを巡って折り合いがつかず断念した。重要法案を与党としてまとめられず、自民単独で提出するのは異例。自民は参院で単独過半数の議席を確保しておらず、法改正の見通しは不透明化している。公明は法案を提出しない方針。

 自民は17日の総務会で改正案を了承し、提出した。首相はこれに先立つ参院本会議で「制度面で実効性のある再発防止策を提示した。今後、各党と真摯(しんし)に協議を行い、政治の信頼回復に取り組む」と述べた。

 自民の改正案は、議員への罰則強化について、議員に政治資金収支報告書の「確認書」作成を義務づけ、必要な確認をせずに不記載などがあった場合は、50万円以下の罰金を科す。罰則が適用されると議員の公民権が停止される。パーティー券購入者の公開基準額は、現行の「20万円超」から「10万円超」に引き下げる。

 政党から議員に支出され、使途公開が不要な「政策活動費」は、政党からの支出が1件あたり50万円を超える場合、議員側の使途を党の収支報告書に記載する。「国会議員関係政治団体」から、議員の後援会など公開基準の緩い「その他の政治団体」に年間1000万円以上の資金移動があった場合は、収支報告書の公開基準を厳格化する。

 改正法の施行日は、一部の規定を除き2026年1月とした。一部の野党が求める企業・団体献金やパーティーの禁止は盛り込まなかった。【遠藤修平、樋口淳也、野間口陽】

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