川勝知事の突然の辞任により5月9日に告示された静岡県知事選挙。県政史上最多となる6人が立候補していて、26日に投開票が行われます。

ここでは、それぞれの候補者の訴えや戦い方などについて紹介します。今回は自民党が推薦する元副知事の大村慎一 候補です。

立候補しているのは、届け出順に、いずれも新人で 諸派の横山正文(よこやま・まさふみ)候補、共産党の森大介(もり・だいすけ)候補、無所属の鈴木康友(すずき・やすとも)候補、無所属の大村慎一(おおむら・しんいち)候補、無所属の村上猛(むらかみ・たけし)候補、無所属の濱中都己(はまなか・さとみ)候補の6人です。

「県民の手に県政をとりもどしたい」

大村慎一 候補:
対立と分断が渦巻き、物事は進まない、決められない。そして、どこで何が決まっているのかよくわからない。県民不在の県政から県民の手に県政を取り戻したい

知事選が告示された5月9日、第一声で「県政の立て直し」を訴えたのは元総務官僚で副知事も務めた大村慎一 候補です。

集まったのは推薦している自民党の議員に加え、市長や町長、それに別の候補を支援している県議会会派の議員も。

特定の地域や政党にこだわらない「オール静岡」を強調しています。

大村慎一 候補:
ありがとうございます。(選挙カーで)走ってると「頑張って」との声をかなりいただけて、訴えが通じてきたかなという手応えは感じています

「農林水産業は人の命をはぐくむ大切な仕事」

告示後初の週末、大村候補の姿は静岡市葵区の牛舎にありました。

大村慎一 候補:
搾乳はしたことありますけど、肉牛の世話をするのは初めてですね。すごくかわいい

思い出されるのは川勝知事の辞職のきっかけにもなった一次産業を揶揄したともとれる発言…。

大村候補は「農林水産業は人の命をはぐくむ大切な仕事だ」と訴えています。

大村慎一 候補:
本当に大変な作業で、飼料価格も上がっている時なので、こういう仕事の収益が上がるように、少しでも負担が減るようにお手伝いできることは県と市町で協力してやっていきたい

街頭演説では地域ごとにそれぞれ政策を掲げ、地域に寄り添う姿勢を示しています。

総務省時代に培った地方行政の手腕を発揮しています。

次期総理候補も応援に駆け付け

”次期総理候補”との声もあがる上川陽子 外相が就任後初めて、そして約8カ月ぶりに地元に戻った理由は大村候補の応援でした。

行政マンとしての能力の高さを絶賛しています。

上川陽子 外相:
静岡県庁の職員の皆さんも「大村さんの知事の下で仕事をしたい」、こんな声が寄せられているそうです。していただけますよね?

大村慎一 候補:
がんばります!

選挙戦の過密スケジュールの合間に静岡おでんの老舗を訪れた大村候補。大好物だというソウルフードを頬ばりホッとしたような笑顔を見せました。

大村慎一 候補:
普段は車内でお弁当とかそんな感じなので、選挙戦の最中におでんを食べさせていただいて、お母さんありがとうございます。おいしいです

SNS発信で長女がアドバイスも

さらに、選挙戦の支えとなっているのが家族の存在です。

普段は都内の民間企業で広報を担当している長女が有休を取りながら父の選挙戦に同行し、SNS用の動画を撮影・投稿しています。

大村慎一候補の長女:
公衆に語りかけてる感じを出せばいい

SNSでのターゲットは若い世代。堅苦しくなりすぎないよう、娘の指示に従いながら取り組んでいます。

大村慎一候補の長女:
大村慎一の親しみやすさだったりとか、面白いところを引き出せたらいいなと思ってます
(Q.お父さんの大村候補はどんな人?)
小さい時から仕事となったら夜中も寝ずに働いて、努力家なので何かわからないことあったら調べて、常に努力を続ける人だなと思います

争点は「県民のための県政運営ができるか」

誠実さと柔軟さを持つ大村候補。

大村慎一 候補:
(リニアは)流域の声を反映させます、市町の皆様としっかり話し合います。大事な大井川の水と環境については妥協をしない、しっかり守って前に進む。(浜松市に建設が計画されている野球場は)丁寧に市民・県民の声を聞いて、浜松市民・県民にとって最適な野球場を最速で整備します。約束します

課題の解決の糸口となるのは対話だと主張し、選挙期間中に「1人でも多くの県民に会いに行きたい」と話しています。

争点は「県民のための県政運営ができるかどうか」だと訴えます。

大村慎一 候補:
大きな声も声なき声もしっかり受け止めて、そして、県政の課題を前に進める。それが本来のあるべき行政だと思っています

知名度不足をどう克服するか

主な争点に対する大村候補の主張を見てみましょう。

まず、リニアについては「流域市町や関係者と対話をして開業推進の立場で1年以内に結果を出す」と訴えています。

そして、浜松市で建設計画が進む県の野球場については「ドーム型ありきの議論はストップして県民・市民の声を聞いて最適な野球場を考える」と主張しています。

なお、一番の課題となっているのが知名度不足で、推薦している自民党の組織力をどこまで活用できるかが注目されます。

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