報道陣に囲まれながら清和政策研究会があるビルに入る会計責任者の松本淳一郎被告=東京都千代田区で2023年12月19日午前8時50分、玉城達郎撮影

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、清和政策研究会(安倍派)の政治資金収支報告書にパーティー券収入のノルマ超過分の収支を記載しなかったとして、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた会計責任者の松本淳一郎被告(76)は10日、東京地裁(細谷泰暢裁判長)で開かれた初公判で起訴内容を大筋で認めた。

 検察側は「収支報告書の作成に国会議員は関与していなかった」と明らかにしたが、ノルマ超過分のキックバック(還流)が始まった経緯や理由には言及しなかった。計10人が立件された一連の事件で、正式裁判が開かれたのは初めて。

報道陣に囲まれながら清和政策研究会があるビルに入る会計責任者の松本淳一郎被告=東京都千代田区で2023年12月19日午前8時50分、玉城達郎撮影

 起訴状によると、松本被告は2018~22年分の安倍派の収支報告書に、収入と支出をそれぞれ計約6億7000万円少なく記載したとされる。

 冒頭陳述で検察側は、安倍派では以前からノルマ超過分を派閥から議員に還流したり、議員が事務所でプールしたりしていたとした。プールする手法は派閥内で許容されていたとし、不記載額約6億7000万円のうち、約1億6000万円がプール分だったという。

 松本被告は19年2月に会計責任者に就任。この頃、還流分は収支報告書に記載しない運用になっていると前任者から引き継ぎを受けたといい、検察側は「これまで(虚偽記載が)発覚してこなかったため継続した」と指摘した。

 松本被告が会計責任者になってからは、収支報告書の原案を事務局の担当職員が作成して松本被告が了承する仕組みが取られており、派閥幹部や所属議員は関わっていなかったとした。

 松本被告は還流分の虚偽記載について認めた一方、プール分の不記載のうち、計約4000万円分については「認識していなかった」と述べた。【井口慎太郎】

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