政治資金規正法改正の実務者会合に臨む自民、公明両党の出席者=衆院第2議員会館で2024年5月8日午後4時3分、平田明浩撮影

 自民、公明両党は8日、政治資金パーティー裏金事件を受けた政治資金規正法改正の実務者会合を開いた。関係者によると、両党は「国会議員関係政治団体」から公開基準の緩い政治団体に一定額以上の資金移動があった場合、政治資金収支報告書の公開基準を厳格化する方針で一致した。9日も引き続き協議し、早ければ同日中の与党案の合意を目指す。

 両党は7日に引き続いて、政党から政治家個人に支出される「政策活動費」▽政治資金パーティー券購入者の公開基準▽国会議員関係政治団体からの資金移動――について協議したが、合意には至らなかった。自民の政治刷新本部作業チーム座長を務める鈴木馨祐衆院議員は会合後、記者団に「自公として見えている景色は相当近くなっている。残っている論点の詰めをしっかりとしたい」と語った。

 規正法は国会議員関係政治団体に対し、人件費を除く1万円超の支出について使途明細を収支報告書に記載するよう義務付けているが、公開基準が緩い政治団体に資金を移すことで使途が不透明になる問題が国会などで指摘されている。

 公明は規正法上の「その他の政治団体」が、国会議員関係政治団体から一定以上の寄付を受けた場合、国会議員関係政治団体と同じ基準で公開の義務を負うこととする案を発表。自民は政治団体間の資金移動について「検討項目」とするにとどめていた。

 関係者によると、実務者会合で自民は公明案を軸に調整することを容認する方針を示した。公開基準が厳格化される「一定以上の寄付」の定義については、その他の政治団体の収入に占める寄付の割合ではなく、一定額以上の寄付とする方向で調整している。両党は一定額の線引きについて詰めの協議を行う。

 パーティー券購入者の公開基準については現行の「20万円超」から引き下げる方針で一致した。公明は「5万円超」への引き下げを提案しているが、自民側には「10万円超」とする意見などがあり、引き続き調整する。

 政策活動費を巡っては、自民が使用目的を10項目程度に分類し、それぞれの金額を政党が開示する案を検討しているが、公明は議員側が「明細書」を作成し、党の会計責任者が政治資金収支報告書とともに提出する改革案を公表している。使途公開の仕組みが異なるため、合意に向けて協議を続ける。【高橋祐貴、野間口陽】

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