女性との性的関係をめぐり、不信任決議が可決された大阪府岸和田市の永野市長。
24日、議会を解散する判断を下しました。
■不信任決議された市長 「この不信任決議に大義がない」と議会解散
24日、会見を開いた岸和田市の永野耕平市長。
【岸和田市 永野耕平市長】「本日、岸和田市議会に対しまして、午前10時ぐらいに解散をいたしました。議会の解散は大義がないと言われてるんですけど、この不信任決議に大義がないと私は感じていますので、あとは市民の皆さんに決めていただく他ないと思っています」
明らかにしたのは、「市議会の解散」です。
永野市長は2019年からおよそ1年半にわたり、性的関係を強要したとして大阪府内の女性に損害賠償を求める裁判を起こされ、解決金500万円を支払うことなどで和解しています。
永野市長は、これまで不倫関係を認めた一方、性加害については「交際関係だった」と否定し、市長を続投する意向を示していました。
しかし、市議会は市長の議会への出席を拒む異例の事態に…。
市長不在の議会が続く中、12月20日、市議会は「議会への説明責任を果たさず、混乱を招いた市長の責任は重大」などとして、不信任決議が賛成多数で可決しました。
「議会解散」か「失職」か―。
市長は12月30日までに選択を迫られていましたが、24日、議会を解散する通知書を議長に提出したのです。
■突然の議会の解散 「理不尽だ」と退室する議員
【岸和田市議会 烏野隆生前議長】「不信任案を出す覚悟も、議員の中で信念持ってやっているので、議会は悪くないと思ってますので、(解散の)大義はないのかなと」
議会の解散で、全ての市議がいきなり議員職を失い、控室からの退出も迫られることに…。
【岸和田市議会 田中市子前副議長】「私たち議員ではなく、なにものでもない人間なので、ここからきれいに出ていかないといけない。理不尽やなと、正直思います…」
【共産党 岸田厚前市議】「議員を辞めての選挙は初めて。経験したことがない誰もが…。そういう意味では大変やな…」
■議会解散の理由は「不貞行為は反省しているし市議会で扱われるのはおかしい」
市長の私的な問題をきっかけに可決された今回の不信任決議。
「議会解散」に踏み切った理由について永野市長は…。
【岸和田市 永野耕平市長】「(不信任)決議文に説明任を果たしてないとあった。しかし私は相手方と話して、秘匿してほしいと言われていること以外は、説明責任果たしてきたのであたらない」
「民主主義の仕組みで選ばれた首長の私が提案した議案について、私抜きで審議が進められたことは、重大な民主主義の問題。議会解散は大義がないと言われているが、不信任決議に大義がないと思っています」
「数年前の不貞行為については、反省しているし申し訳ないと思っている。それは家族・妻に思っていることで、そのまま市議会で扱われるのはおかしい」
■会見に妻を同席させ「事実を伝えたい」
会見には市長の妻も同席し、今の思いを明かしました。
【市長の妻 永野紗代さん】「すごく緊張しています。事実ではないこともたくさん出回っているので、事実を伝えたいと思い、ここに来ました」「(性)加害がなないのに、あるように報道されて、つらい日々でした」
(Q.旦那さんには?)
【岸和田市長の妻】「変わらず大事な家族の一員です」
■辞職は否定 自動失職したら「立候補する」 大阪維新の会・吉村代表は「応援はない」
市長は自身の進退について、辞職は否定した上で、次の選挙で選ばれた市議らによって、再び不信任決議が可決された場合、自動的に失職となることを問われると、市長選に出馬する意向を示しました。
【岸和田市 永野耕平市長】「自動失職になった場合、前向きに考えていきたい」
(Q.(再び不信任になれば)出直し選挙を検討?)
【岸和田市 永野耕平市長】「はい、もちろん。立候補するって言っていいんかな。挑戦したいと思っています」
この判断に所属先だった大阪維新の会の吉村代表は…。
【大阪維新の会 吉村洋文代表】「(議会の)解散の大義があるとは思えない。何が争点になるかというと、真実が分からないので。(市議選で)われわれとしては、市長を応援することはないです」
■岸和田市民の声「みっともない」、「話題になるのが不安」、「今まで通りでいい」
市長の判断に岸和田市民は…。
【岸和田市民】「もうみっともない。最初から認めないし…。(市長が)辞めないことが納得いかない」
【岸和田市民】「(選挙でお金)かかるよね。そんなんに使ってほしくないですよね。正直な気持ちね」
【岸和田市民】「こういうことが毎日取り上げられたり、話題になること自体が、やっぱり市民としては不安な気持ちが強い」
【岸和田市民】「どっちか言うと、永野さんに賛成。今まで通りでいいと思うんやけどな」
今後、40日以内に市議会議員選挙が行われることになります。
■何もって「大義」があるというのか? 議会の解散は必要なのか
岸和田市長は議会解散の道を選びましたが、この判断について番組コメンテーターの安田洋祐教授は「大義はないのではないか」と話します。
【大阪大学大学院 安田洋祐教授】「市区町村レベルでこういった不信任案決議が可決された時に、総辞職を選ぶ事例は過去にもありましたが、基本的に議会とかの政治の問題です。予算をどう使うかとか、この政策どうかって。そういったことで信を問う解散だったら分かります」
「今回、市長のプライベートな問題です。それに対して、『不信任決議に大義がない』とおっしゃってましたけれども、解散よりかは、失職して、出直し市長選で自分が再任されれば、おそらく大義があったんだろうと白黒つくと思うんですけれども、これが議会の総選挙に、もう一回選挙になってしまうと、何を持って大義があるかって判定も難しいですし、解散に関しては大義がないんじゃないかなと思いました」
市議会議員選挙となると、選挙費用はおよそ7300万円ぐらいかかると言われています。
市会議員の任期も2年あまり残っていたとも言われています。
【関西テレビ 神崎博報道デスク】「市長が言う『不信任に納得できないので議会を解散する』という理由は、分かります。ただ議会を解散したとしても、岸和田の大選挙区で争うので、そんなに実は議会構成は変わらないと思います」
「再選された市議会議員が、もう一度不信任を可決したら、自動失職してしまうと。その後市長選になるので、7300万円かけることは、どうかっていうこともありますけれども、それであれば今、不信任をつきつけられて、そのまま失職を選べば、市長選はどっちみちやらなければならないので、そこで市民に自分が市長をやっていいかどうか信を問えばいいのではないかと思います」
市民の皆さんがどのように判断されるでしょうか。
(関西テレビ「newsランナー」2024年12月24日放送)
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